前立腺がん手術は尿漏れなど合併症対策が重要 トップの病院は?

前立腺がん治療件数の病院ランキング 1位~10位 (07:00)dot.

前立腺がん治療件数の病院ランキング 1位~10位 (07:00)dot.
 きちんと治してくれる「いい病院」に出合いたい――。自分や家族が病気で手術を受けることになったとき、多くの人はそういう思いを抱くことでしょう。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2018』では、全国の病院の年間手術数を独自調査し、手術数が多い上位病院をランキング形式で掲載しています。手術数だけが病院選びの指標ではありませんが、多くの指標を考慮するにしても、参考にしたい客観的指標の一つです。手術を多く実施していれば、それだけ難しい症例やトラブル対応も経験していると考えられます。別の見方をすれば、手術数は患者から命を託された数ともいえます。

 最新データである2016年1年間の手術数の調査結果から、ここでは「前立腺がん手術」の全国トップ40を解説記事とともに紹介します。

【図表】最新・前立腺がん治療件数ランキング、続きはこちら】

* * *
 前立腺がんの2017年の国内の推定患者数は約8万6千人で、男性のがんで第3位と予測されている。さまざまな治療の選択肢があり、比較的治りやすいがんとして知られる。

 前立腺がんの治療では、放射線治療が手術と同等のウエイトを占め、補助的な位置づけではなく、単独で用いられることもある。そのため、ランキングの内訳では手術数だけでなく、放射線治療数も掲載している。

 手術法にはランキングデータにあるように、開腹手術、腹腔鏡手術、手術支援ロボット「ダビンチ」を用いたロボット手術の三つがある。

 放射線治療は外照射(強度変調放射線治療=IMRTを含む)、低線量率組織内照射(小線源療法=LDR)、高線量率組織内照射(HDR)の三つに分けられる。

 がんが前立腺内にとどまる「限局性がん」なら、初期の段階であるほど治療法は多い。さらに限局性がんであれば、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術で、がんに対する有効性はほとんど差がないという。しかし、この治療法の多さが、患者が選択に迷う原因になるようだ。

 千葉大学病院の市川智彦医師は次のように話す。

「がんが疑われると言われたら、まず多くの治療法の経験がある病院で確定診断を受け、そのあとで自分が選択した治療法の症例の多い病院を紹介してもらうのがいいでしょう」

 治療法は患者の年齢、持病の有無、合併症のリスク、再発のリスク、ライフスタイル、希望などを考慮して選択される。

 気になるのは合併症だ。手術では勃起障害、尿漏れが起こり得る。術後数カ月から1年くらいで改善されることもあるが、完全になくなることはむずかしい。ロボット手術では、ほかの手術法に比べて神経や括約筋の温存を図りやすいが、それでも完全ではないという。

 放射線治療では排尿困難や頻尿などが起こり得るが徐々に軽快し、1~2年で、もとの状態に戻ることが多い。排尿に関する合併症は小線源療法よりも外照射のほうが少ないとされる。外照射は高い線量の場合は、直腸出血などの頻度が高くなる。

 がんを最大限切除しつつ、患者の希望を尊重し、合併症をできるだけ回避する手段を豊富にもっているのは、やはり症例数の多い病院になる。

 目安となるのは、手術で年間50例、放射線治療も年間50例くらいではないかと、東京慈恵会医科大学病院の頴川晋医師は言う。

「手術と放射線治療のバランスのとれた病院がいいでしょう。しかし病院のシステムはそれぞれ異なるため、症例数だけに頼るのは不十分です。くわしい情報を得られないことも多いでしょう。そんなときには、主治医に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします」

◎市川智彦医師/千葉大学病院 副病院長 泌尿器科科長・教授

◎頴川晋医師/東京慈恵会医科大学病院 泌尿器科主任教授

続きを読む

この記事にコメントをする

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック