「『細かすぎて~』は、とんねるずさんや関根勤さん、バナナマンさんなどの審査員たちに、どんな芸人が出ているか一切、知らされていないのです。スタジオに到着した芸人は隔離されて、楽屋あいさつなどもしてはいけないルールになっている。だからこそ純粋な笑いが生まれているんです。収録が終わった後、控室に隔離された芸人たちは、審査員とは別の出口から帰るのですが、その経路にタカさんが立っていて、名も知れぬ新人芸人たちに一人ひとりに握手するんです。その後、60人もいる関係者の打ち上げ代金を全部支払っていただきました」(民放バラエティー制作スタッフ)


 
 現代では“古くさい”と揶揄されるかもしれないが、とんねるずは長年にわたって、局や事務所の枠を超えて常に若手を支えてきたのだ。前出の民放バラエティー制作スタッフによると、「おかげでした」のあるコーナーに出演していた芸人が、ギャラ交渉でフジテレビと揉め、その芸人が出禁になってしまったところ、それを聞きつけた石橋が、局の上層部に頭を下げて出禁を解いたという逸話もあるとか。

 一方、大道具やカメラマンなど裏方と「野猿」を結成するなど、スタッフとも仲がいいのがとんねるずの特長だ。もちろん彼らに憧れて業界に入ってきたスタッフも数多い。

「局のエレベーターで、タカさんと一緒になったとき、まだペーペーなのに気さくに声をかけてくれて感動した覚えがあります。先輩のディレクターも言ってましたが、ノリさんは肩書や立場など関係なく、スタッフに対しても競馬などの遊びに誘うし、飯もよく呼んでくれるそうです。さらに『木梨サイクル』の制作スタッフの話ですが、編集作業をしているとき、『近くまで来たから』といって、たびたびノリさんが奥さん(安田成美)と子供を連れて、差し入れ持ってきてくれたと言ってました」(フリーのバラエティー番組ディレクター)

 とんねるずの“伝説”は枚挙にいとまがなく、芸人たちや制作スタッフからも新番組への登板を望む声は多いようだ。以前、おぎやはぎのラジオ番組に乱入した石橋は「自分は引き出しが少ないから、手品師みたいにネタがバレないようにしなきゃいけない」と語っていた。お茶の間にどんな新たな企画をぶつけてくるのか、それはテレビなのかウェブなのか……。今後の活躍が楽しみだ。(ライター・黒崎さとし)