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“絶対王者”帝京大学に死角は…ラグビー大学選手権9連覇なるか?

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向風見也dot.
トライを決める帝京大のニコラス・マクカラン (c)朝日新聞社

トライを決める帝京大のニコラス・マクカラン (c)朝日新聞社

 1月2日、秩父宮での大学選手権準決勝。昨季まで2回連続で決勝戦をおこなった東海大と対峙する。33-12で勝った。

 帝京大は、この試合までに設けられた9日間という通常よりやや長い準備期間をフル活用。対戦相手を普段以上に分析し、フォーカスポイントを明確化した。その延長で、課題だった守りにしぶとさを宿す。

 タックルする際には、向こうの持つ球へ手をかけた。東海大が擁する留学生選手は、何度も落球した。また、個々の素早い起立により、守備ラインの隙間は最小限に止めた。孤立して倒れる相手選手を見つけては、その人の持つボールへ腕を差し込んだ。攻撃の流れを断った。

 防御の変貌ぶりについて、岩出監督はこう説明した。

「練習(ですべきこと)をもう一度、チェックしました。この間の試合(流経大戦)では、やはりハングリーではなかった。今回はハングリーで、やることもクリアになっていた。一番、良いタイミングでした。東海大さんにも力はあったけど、我々が良い準備をできた」

 攻めても、今までの帝京大を支えてきた力強さと判断力が光った。スクラム最前列のフッカーに入る堀越主将は仲間のすごみを再認識した。

「本当に集中力が高まった時の帝京大のアタックとディフェンスは強いな、と感じました。対抗戦の時などは気合を入れるというマインドだったのですが、東海大戦前は(もともと)気合が入った状態でした」

「心技体」のうち「技」と「体」の質を自負し、かつ成功し続けている今季の帝京大陣営は、何より自分たちの「心」というふたつ目の敵を注視してきた。だから、いくら勝負の世界で精神論を用いていても、違和感とは縁が薄かった。

 7日の決勝戦では、明大とぶつかる。過去12度優勝の明大は19季ぶりにファイナリストとなり、1996年度以来の大学日本一を狙う。

 今季の帝京大は対抗戦で明大を下していて、裏を返せば東海大戦時よりもふたつ目の敵が顔を出しそうな状況下にある。一方で明大は、前回対戦時から成長し続けている。攻撃時の肉弾戦へのサポートの徹底でボールキープ率を上げれば、予定調和を壊せそうでもある。

 無形のプレッシャーのただ中にあって、堀越は何を思うか。東海大戦で見せた「マインド」を安定的に引き出せなかった点を指摘されると、素直な気持ちを明かした。

「そうですね、そこは帝京大のウイークポイントでもあって。それでは相手へのリスペクトがないから、絶対になくそうと皆に話しています。試合中に出てきてしまう隙や安心を修正したいです」

 来季以降はひとつ目の敵、他校がより力をつけるだろう。各校の人材獲得合戦は激化していて、帝京大がどう身体を鍛えてきたのかといった歴史の一部は記事やテレビ番組などで誰もが共有している。

 岩出監督曰く「昔(の体育会)と違って(常に)上級生が(下級生に)優しいから、どこかのんびりしている」というクラブは、まずふたつ目の敵である自らの慢心に立ち向かわねばならない。オフ・ザ・フィールドも含め、再点検に入るだろう。

 3年生ウイングの竹山晃暉は「9連覇をすることで、10連覇という新しい自分の目標ができる。勝って次に繋げたい」と話す。今度の決勝戦を制しても、その座に胡坐をかく気はない。(文・向風見也)


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