古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

 あけましておめでとうございます!今年も政治経済の裏側を読み解いていきます。

 よろしくお願いします!

 元旦配信のコラムなので、何を書こうかと思案したが、2019年の話をすることにした。「2018年」の間違いではないかと思うかもしれないが、そうではない。

 2018年のことを語るには、2019年までを見据えなければ話ができないのだ。もっと言えば、2021年くらいまでのスパンで物事を考えなければならない。政治とはそういうものだし、安倍政権も当然そういう考え方をしているはずだ。

 まず、19年を視野に入れると、19年夏の参議院選まで国政選挙がない。1年半以上の空白期間だ。「難しいけれども是が非でも実現したい課題」にチャレンジするには最適の時期である。安倍総理にとって、「難しいけれども是が非でも実現したい課題」と言えば、「憲法改正」。とりわけ9条改正に突き進む大きなチャンスが到来したのだ。

 憲法改正のためには、まず、第1段階で、衆参で3分の2の議席を維持して改憲の発議をしなければならない。その条件は、先の衆議院選で両院3分の2を確保し、これから1年半それが保証されることになった。しかし、1年半後の参院選で再び大勝する保証はないので、改憲発議は遅くとも参議院選の前にしなければならない。これは誰もがわかることだろう。

 今年1月に始まる通常国会では、3月いっぱいは予算審議なので、春以降憲法改正の議論が本格化すると思われる。しかし、さすがに数カ月で改憲案を両議院で採決するところまで持っていくのは不可能だ。自民案を出して、議論するところまでが限界だろう。秋の臨時国会も通常は補正予算などが入るので、普通に考えると最終採決には至らず、19年の通常国会の予算審議が終わった後、両議院で採決して発議となるのではないだろうか。

 発議の時期は、国民投票法とも密接に関係する。同法では、発議から60日以上180日以内に国民投票を行うことになっている。18年秋の臨時国会は長くても12月上旬までだ。その後は税制改正、予算編成などの作業が入るからだ。もし、臨時国会で12月に発議まで進めると、どんなに先延ばししても180日後の19年6月初旬に国民投票となり、その直後に改めて参議院選ということになる。それでは、お金の無駄遣いもいいところなので、その観点からも、やるなら年明けの19年通常国会ということになると思われる。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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