王者帝京の背中は遠く…早明ラグビーはなぜ凋落したのか? (3/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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王者帝京の背中は遠く…早明ラグビーはなぜ凋落したのか?

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向風見也dot.
全国大学選手権8連覇を達成して喜ぶ帝京大の選手 (c)朝日新聞社

全国大学選手権8連覇を達成して喜ぶ帝京大の選手 (c)朝日新聞社

 山下監督就任と同時に入学した有望株の多くは、1年時から試合経験を積んでいる。

 今季、帝京大学には夏合宿中の練習試合で0-82と大敗も、秋の対抗戦では21-40と迫った。一時はリードを奪うなど、向こうの隙をついた格好か。対抗戦5勝1敗で早明戦を迎えるに際し、山下監督はこう談話を残す。

「今年は夏に底を見ている。底というのは、結果ではなく自分たちの弱さを痛感したという底です。ここから私も改めてチームを見つめ直し、選手も自分を見つめ直してきた。やっと、ひとつのタックル、ひとつの(相手への体の)差し込み方、ひとつのキックという、精度を求められる段階までは来た。駆け上がるしかない。(早明戦の先は)まったく、考えてないです。とにかく明治を倒すだけ。早明戦の前は『明治、明治、明治を倒す』ということだけです」

 一方、他校が羨む陣容を誇る明治大学は、丹羽監督と田中HCの二人三脚で選手の有事における対応力の強化に着手している。

 栄養管理と肉体強化の計画は、早稲田大学に先んじてシステムを構築していた。さらに今季は、現役時代にエディー・ジョーンズ(元サントリー、前日本代表HC)の下でもプレーした田中HCが年間計画を立案。土台を作る春から夏にかけては、グラウンド外での規律、グラウンド内での自己主張を促すよう苦心した。

 今季の対抗戦では帝京大学に14-41と屈するなど、すでに2敗。日を追うごとに必死さと厳格さを体得している今季の帝京大学にとっては、早稲田大学とぶつかった10月28日と明治大学とぶつかった11月18日とでは内なる手応えが違ったか。

「帝京では一人一人が考えているし、チームに対してどうしたいかを考えて行動している。これは岩出監督が何年もかけて作ってきた文化ですが、明治もそれを1年でも早く作り上げないと」

 要所で突如として反則をしなくなる王者に対し、田中HCはこんな眼差しを向ける。早明戦に向けては「勝つか負けるかで順位が全然、変わる。大事な試合ですよね。相手がどうこうではなく、明治のスタイルでアタックする」と決意する。

 2015年のワールドカップ・イングランド大会で日本代表が歴史的な3勝を挙げ、翌2016年からは国際リーグのスーパーラグビーへ日本のサンウルブズが参戦。この国の楕円球界は国際化の波に乗らんとし、おのずと早明戦の立ち位置も変化しつつある。

 それでも、明治大学の梶村祐介副将は「どちらも大学選手権を見据えた上でこの一戦を捉えている。特に明治は春からいい準備をしていて、周りからの評価も高かった。その期待を裏切りたくない」と語る。一方、早稲田大学の加藤広人主将は「何だかんだ言っても日本で一番、観客の入る試合。ここで強い早稲田、明治が切磋琢磨することで大学ラグビーも盛り上がりますし、帝京を倒すことにも繋がる。結果を出せたら」と言う。

 冬の祭りを機に、早稲田と明治がジャンプアップを期す。(文・向風見也)


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