つまり、オリンピックの年の夏のコミケを5月1日から5日に開催できるように調整するという意味である。

 これがいかにばかげた発言かは、この後の解説を読んでもらえばわかると思うが、面白いのは、コミケファンがネット上でこの発言に強く反発していることだ。そして、彼らのコメントは非常にポイントを突いている。ごく一部だが、紹介しよう。

・GWには同人関連だけでも別のイベントがいくつもある。これらとダブってしまうので、この時期のコミケ開催は無理だ。
・西棟だけでは狭すぎて規模が大幅縮小される。これではコミケがコミケでなくなる。
・「調整する」というのではだめ。あとで「できなかったごめんなさい」ということになるのではないか。
・選挙直前にこんな中途半端な発言をするのは、単なる選挙の票目当てに過ぎない。
・馬鹿にされていると感じる。
・コミケだけの問題ではない。他の見本市はどうなるのか。

 驚くのは、彼らが、小池氏の「コミケ開催の問題を解決するという口約束さえすれば、選挙で、数十万と言われるコミケファンの票を獲得することができる」という魂胆を見事に見破って、全く騙されていないことだ。小池氏がまじめな政治家ではなく、単なるパフォーマンスで人気取りをするだけの政治家であることを非常によく理解していることには驚いた。

■東京五輪で東京ビッグサイトは深刻な被害

 コミケファンですら指摘しているとおり、実は、この問題はコミケだけの問題ではない。その何百倍もの問題があると言っても良い。

 2017年9月26日、日本経済新聞朝刊に、東京五輪・パラリンピック(オリパラ)による「見本市中止問題」の解決を要望する全面意見広告が載った。その後10月には関係企業や団体による大規模なデモも行われたが、残念ながら、選挙の告示直前で、大きく報じられることはなかった。

「見本市中止問題」とは、東京ビッグサイトがオリパラのメディアセンターとして使用されるため、その前後20カ月間、使用が大幅に制限され、200本以上の見本市が開催不能となり、大変な被害が出るという深刻な問題だ。

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