偽痛風は発作的なひざの痛みや腫れ、熱感、全身の発熱がおこる
偽痛風は発作的なひざの痛みや腫れ、熱感、全身の発熱がおこる

 足指の付け根が痛む痛風はよく耳にしますが、「偽痛風(ぎつうふう)」という病気があることを知っていますか? 主にひざが痛くなり、発熱が起こります。週刊朝日MOOK「腰痛 肩こり ひざ痛のいい病院」では、男性だけでなく高齢の女性に多い偽痛風の治療法を解説しています。

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 60歳以上の人に多いひざの痛みに「偽痛風」があります。原因ははっきりしていませんが、老化によって肝臓の代謝機能が低下することが一因であると考えられています。肝臓の代謝機能が落ちると血液中にピロリン酸という物質が増え、これがカルシウムと結びついて「ピロリン酸カルシウム」に変わります。そして関節液の中に入り、過労など体調や食事の条件によって結晶化し、関節内部の組織に付着します。結晶は異物なので、それを排除しようとして炎症が起き、痛みが生じるのです。

 特に症状が出やすいのはひざですが、足首や股関節、ひじなどほかの関節で症状が出ることもあります。 

 痛みの程度は軽度から激痛までさまざまですが、腫れや赤み、熱感などもあり、発熱などの全身症状を伴うこともあります。症状は数日から1カ月以上続くこともあります。 

 変形性膝関節症が進行している人ほどピロリン酸カルシウムの値が高いというデータもあり、合併する場合があります。 

 急性炎症症状があり、X線画像で半月板の石灰化が確認されれば偽痛風と診断されます。本来は関節液を採取し、それを顕微鏡で調べて結晶構造を確認しなければ確定診断はできませんが、そこまでするのはまれです。

■痛みをとり除く対症療法が治療の中心 

 薬で結晶をとり除くことができないため、治療は消炎鎮痛薬で痛みを軽減させることが中心となります。必要に応じて関節内にステロイド薬やヒアルロン酸を注射することもあります。変形性膝関節症を合併し、関節が破壊されている場合は、手術も検討します。 

 ピロリン酸カルシウムではなく、尿酸の結晶が原因となって急性炎症症状が起こるのが「痛風」です。

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