西武・山川穂高、中日・福田永将、オリックス・吉田正尚 (c)朝日新聞社
西武・山川穂高、中日・福田永将、オリックス・吉田正尚 (c)朝日新聞社

 今季、和製大砲の台頭が著しい。西武山川穂高中日・福田永将、オリックス・吉田正尚たちだ。昨シーズン、キャリア初となる2桁本塁打をマークした彼らは、その自信を今シーズンに繋げている。

「去年はただ出してもらっていただけ。打てない日があっても、翌日はスタメンで使ってもらえましたから。今年は明日(の出場)が約束されていない。その中で少しずつスタメンも増えてきたので、だいぶ自信がついてきています」

 そう語ったのは西武の山川だ。8月2日の楽天戦でエース・則本昂大から2打席連続本塁打を含む1試合3本塁打。“おかわり二世”の名をほしいままにしてきたが、本格的な打撃開眼といった様相を見せている。8月18日現在まで、21試合連続スタメン出場を果たしている。

 山川のようなホームランバッタータイプは育成が難しい。

 WBCで主砲を務めた筒香嘉智(DeNA)を見ても分かるように、彼ほどのスラッガーでも1軍に定着するまで約5年を要している。地道な研鑽を積んで今の立ち位置を得たが、それほど大砲が育つには時間がかかるのだ。

 彼らのようなタイプは結果が出ないと守備・走塁での貢献度が期待できないから、どうしても我慢強い起用をしづらくなる。目先の1勝が重要になればなるほど、起用が後回しになってしまうのだ。

 例えば、昨シーズンの山川で忘れられない試合がある。まだチームがクライマックスシリーズ進出を目指していた頃のことだ。開幕1軍入りするも、即座にファーム調整していた山川が1軍に昇格した。6月25日のロッテ戦でスタメン出場すると1打席目にシーズン初となる3点本塁打を放った。打撃開眼の可能性をにおわせたが、しかし、その試合がもつれて2点ビハインドの8回裏、無死・1、2塁の好機で山川を迎えると、無情にも代打を送られてしまったのである。勝つために走者を進めて、同点を狙いに行く。勝利を前提にしている状況下では、彼らのようなタイプの活躍の場は限られるのが実情なのだ。

 その後、山川はチームが低迷したシーズン後半に出場機会を得て2桁本塁打をマークするが、今季は辻発彦監督の我慢強い起用のもと、ようやく台頭を果たしてスタメンに定着しつつある。

 入団10年目の昨季、2桁本塁打をマークした中日の福田も育成に時間を要した。

 横浜高校時代からスラッガーとして知られ、高校1年夏に甲子園に出場。2学年上の涌井秀章とバッテリーを組んでベスト8に進出。3年春にはキャプテンとしてセンバツ優勝を経験した。その後、福田は2006年の高校生ドラフト3位で入団したが、捕手というポジションもあって、すぐにレギュラーをつかむことはできず、2年目に内野手へコンバート。パワフルな打撃を生かすための処置だが、そこから長く時間がかかってしまった。

 中日を取材する放送関係者が話す。

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