「(プロは)技術が勝負の世界ですが、メンタル面に余裕ができてから結果が出るようになったと福田選手本人が話していました。打席内で冷静に考えるようになり、状況判断などが落ち着いてできる。2年前からは配球面にも着手していたと言いますから、技術面に関してはその時にはほとんど固まっていたんだと思います。メンタル面とそこが一致しての昨年、今年のブレークではないでしょうか」

 技術力を習得するのに研鑽を積んだ福田が、さらなる成長に繋げたのがメンタル面だった。打席を多く経験することで、気持ちの余裕が生まれたということなのだろう。今季は7月30日の阪神戦で右方向へ特大本塁打を放っている。大きなスタジアムであるナゴヤドームの右翼スタンドに放り込んだことは、大きな自信になったに違いない。これは彼の打撃技術の高さを証明したものだ。

 そしてもう一人、気になるのがオリックスの吉田だ。

 吉田はルーキーシーズンの昨季、開幕直後に腰を痛めて長期離脱したものの、8月12日の復帰からわずか29試合で9ホーマーと驚愕の打棒を見せた。和製大砲というには、173センチ87キロと小柄だが、どんな球にもフルスイングしていく打撃スタイルは見る者を魅了する。そして昨年オフに参加した台湾WリーグではNPBウエスタン・リーグ選抜として全18試合に出場し、打率.556(54-30)、6本塁打、29打点の大活躍。安打数、塁打数と併せて打撃5部門のトップに輝いた。そもそも吉田が2015年のドラフト1位でオリックスに入団した経緯は、球団がT-岡田に続く和製大砲を探していたところ、吉田に白羽の矢が立ったというものだ。ドラフト1位には即戦力の投手を指名することが多いオリックスだったが、この年だけは和製大砲に照準を絞っていたのだった。

 吉田は山川や福田に比べると早くに台頭したと言えるが、彼に常に付きまとうのは持病の腰痛だ。今年の春季キャンプ中に腰痛を再発させて開幕1軍メンバーに入れず、リハビリに多くの時間を要した。7月9日にようやく今季1軍初昇格、初出場。翌10日の日本ハム戦でホームランを放ったが、いつ再発するか分からないコンディションとの戦いは続いている。

 芽を出し始めた和製大砲たち。ホームランバッターを育てるのは容易なことではない。それだけに、和製大砲としての可能性を見せている彼らへの期待は高まるばかりだ。(文・氏原英明)