家族の受診当日に持参したいメモ
家族の受診当日に持参したいメモ

 家族の認知症を疑い、病院へ連れて行くとき、家族は何を用意していったらいいのだろうか。注意すべきポイントとは――。 週刊朝日MOOK「家族で読む予防と備え すべてがわかる認知症2017」では、その方法を医師に尋ねた。

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 家族の認知症を疑い、医療機関を受診することが決まったら、「◯月◯日には病院に行くよ」と本人に告げて、カレンダーなどに印をつけておく……というのが一般的ですが、川崎幸クリニック院長の杉山孝博医師は「あまりおすすめしません」と言います。

 時間とともに不安になってしまい、前夜眠れなくなってしまう人や、直前になって「やっぱり行かない」と言いだす人も少なくないそうです。

「事前に予告はせず、当日になってから、『じゃ行きましょう』とあいまいに誘い出すのがいいと思います」(杉山医師)

 もし当日になって「やっぱりイヤだ」「行くとは言っていない」と言う場合には、いったんは引き下がるのがいいようです。病院には事情を伝え、キャンセルの電話をするのをお忘れなく。

 病院に付き添うのは、できれば2人が理想的だと杉山医師は言います。

「最初の受診のときはとくに落ち着きがなくなったり、イライラして怒りっぽくなったりする人が少なくありません。そんなときでも、付き添いが2人いれば一人は待合室で待機し、もう一人はいっしょに院内を散歩することができますよね」

 気になるのは、結果の説明を受けるときに本人も同席したほうがいいのかという点です。杉山医師は、「当院では、できるだけ本人に同席してもらいます」と言います。

「初期の人であればとくに『自分はどうなるのか』と不安を感じていますから、自分のいないところで説明があると不信感を抱くかもしれません」

 本人の前では、できるだけやわらかい言葉で説明するように意識していると杉山医師。

「私は『認知症』『アルツハイマー』などの病名は極力使わず、『人は誰でも年齢を重ねるともの忘れがひどくなるものですが、そのカーブが少し急なようです。緩やかになるように薬を飲みましょう』などの言い方を心掛けています」

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