インテル時代からやんちゃな行動が目立っていたバロテッリだが、イングランドのマンチェスター・シティーに移籍してからは奇行に拍車がかかった。自宅で友人たちと花火パーティーを行ってボヤ騒ぎを起こしたかと思えば、ゴール前の決定機でわざわざ後ろを向いてヒールキックでゴールを狙って枠を外し、激怒したロベルト・マンチーニ監督に交代を命じられることもあった。さらには、練習場の窓から下部組織の選手に向かってダーツを投げ「暇だったから」と悪びれることもなく釈明するなど、問題行動は続いた。ゴールを決めてユニフォームをまくり上げると、そこには「Why always me?(何でいつもオレなんだ)」の文字。ピッチ上での能力と才能もすさまじいが、ピッチ外での話題提供力は群を抜いた。

 他にもサッカー界には様々なお騒がせ選手がいる。南米勢では、ウルグアイ代表FWルイス・スアレスが2度に渡る“噛みつき行為”で長期の出場停止を科された。チリ代表MFアルトゥーロ・ビダルは、南米選手権中に愛車のフェラーリを飲酒運転で爆走させて大クラッシュ。イタリアの大手自動車メーカー「FIAT」をスポンサーに持つ所属チームのユベントスから、あっさりと放出される憂き目にあった。コロンビア代表MFハメス・ロドリゲスは、レアル・マドリードの練習場に向かう途中で警察とカーチェイスに及び、一般道を時速200キロで暴走するという問題行動を起こした。

オールドファンにとっては、アルゼンチンの英雄マラドーナも“永遠の問題児”だろう。1986年のメキシコワールドカップではクロスを手で叩き落としたゴールを“神の手”と呼び悪名を高め、続く90年のイタリアワールドカップではソ連戦でゴールに入ろうかというボールを手でブロック。「審判が見ていなくて良かった」と言い放った。その後はコカインの陽性反応や麻薬所持で逮捕されると、所属クラブとの契約問題で自宅に押し掛けた報道陣にエアガンを乱射して有罪判決を受けた。復帰して出場した94年の米国ワールドカップでは、再びコカインの陽性反応で大会から追放。引退後も様々な舌禍事件を起こしてきたが、今はインタビューを受けた後にホテルの部屋へ連れ込んだとして、ロシア人女性ジャーナリストへのセクハラ問題の渦中にある。

 他にも、ズラタン・イブラヒモビッチ、ラヒーム・スターリング、アンディ・キャロル、マルコ・マテラッツィなど、名前を挙げればキリがない。カッサーノは去り際にまで話題を提供してピッチを去っていくが、狂気と隣り合わせにしたスーパープレーを見せるサッカー選手は世界中のファンを熱狂させ、お茶の間にも話題を提供する。優等生的な選手とは一線を画す問題児たちは、サッカー界における強烈なスパイスとして君臨し続ける。