大山のぶ代さん (c)朝日新聞社
大山のぶ代さん (c)朝日新聞社

 11日に尿管がんのため80歳で亡くなった俳優の砂川啓介(さがわ・けいすけ)さんは、「ドラえもん」の声優で知られる妻・大山のぶ代さん(83)とおしどり夫婦として知られた。5年前に大山さんが認知症を患ってからは「娘のようになった」と愛し、「君より先には死ねない」と介護を続けてきたが、先に病に倒れた。今、大山さんはどうしているのか――。関係者に話を聞いた。

 がん治療で入院していた砂川さんの容態が急変したのは今月11日。病院から緊急の連絡を受け、マネジャーらが駆けつけたが、あと一歩というところで間に合わなかった。早朝、誰にも看取られることなく、静かに旅立っていった。

 大山さんが、亡くなった砂川さんの姿を見たのは数日後、葬儀所だった。棺の中を見て、「お父さん……」と言い、涙をこぼした。すぐに棺から離れ、出口の方へ歩き出し、マネジャーが「帰るの?」と問うと、「帰る」と言い、その場を去った。

 お互いを尊重しあい、気遣いあうおしどり夫婦だった二人。大山さんが認知症になってからは、砂川さんは、「妻だけど娘のようだ」といい、積極的に介護もしていた。砂川さんは、入院後、マネジャーに「頼むな」と伝えたそうだ。

 気になる大山さんの今後だが、引き続き介護施設で過ごすという。今は元気にしており、時折笑顔も見られるそうだ。