神走塁を生んだ…西武・辻監督が目論む「ゴロゴー」の復活 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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神走塁を生んだ…西武・辻監督が目論む「ゴロゴー」の復活

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氏原英明dot.
辻監督は常勝時代の走塁戦術でチーム変革を進めている(c)朝日新聞社

辻監督は常勝時代の走塁戦術でチーム変革を進めている(c)朝日新聞社

 シーズンが開幕すると、辻監督はきっちりとした役割分担を打ち出した。

 打つのは秋山翔吾、浅村栄斗、中村剛也、メヒア、栗山らにまかせ、足が使える選手、ルーキーの源田壮亮をはじめ、昨季の盗塁王・金子、そして外崎、木村文紀、水口らを積極起用。ここに足もある秋山が走でもチームに貢献した。

 交流戦終了時点で、盗塁数は12球団トップタイの53個。チームの変革は明らかだった。

 例年以上の積極性を走塁面で見せている秋山がチームの変化を語る。

「去年まで盗塁ができたのはネコ(金子)だけでしたけど、源田が入ってきて、外崎もいて、選手の中で、盗塁のことに関して話すことが多くなりました。その会話の中で、ヒントをもらって自分の盗塁に生かせているというのはあります。今のは行くべきじゃなかった、もしくは、行けたんじゃないかと、自分の中で処理するのではなくて、みんなで話すようになったのは大きいと思う」

 中村や栗山、浅村など打の猛者たちが打撃論を語りあう場面はよく見かけるが、「足」のある職人たちも、走塁談義するのが当たり前になった。

 球界一の小柄な選手ながら、チーム屈指の脚力で1軍に定着した水口は「試合前に今日は誰が盗塁決める?」という会話が出ると説明した後、こう続けた。

「監督やコーチからレベルの高い指導をされます。時には、できるかなと思うくらいのこともあるんですけど、みんなで話し合っていますね。僕は途中出場が多いので、ベンチで、常にストップウオッチを持つようにしています。クイックを測ったり、投手の癖がどこにあるのかという話は、常にしていますね」

 選手たちの相互理解が深まり、チーム内競争も生まれて高い走塁技術を発揮していく。打つだけのスタイルだったチームは今季、両リーグトップタイの盗塁を含めた走力を駆使して得点力を高め、勝ち星の増加に一役買っている。

 秋山は言う。

「チームとして『走る』というピースは必要だと思います。強いチームにはいろんな点の取り方があると言われますけど、仕掛ける気持ちは持っておかないといけないなと。ホームランを打つのが効率のいい点の取り方ですけど、確率が高いわけではない。バッターからしても、ホームランやロングを打たなきゃ得点が入らないと思って打席に入るより、(得点圏にランナーがいるから)シングルでいい、単打でいいと思うだけでも違う。打線の巡りが良くなっている要因でもあると思う」

 6月11日のDeNA戦では、金子侑が、秋山との間でゴロゴーを成功させて1-0の僅差勝利に貢献した。その一方、6月14日の阪神戦では金子侑と外崎の盗塁が失敗に終わるも、中村の本塁打など打力で勝利。6月16日の中日戦でもホームラン攻勢で勝利を挙げている。

 時を経て西武に浸透しつつある「ゴロゴー」、「当たったらゴー」の走塁戦術。

 それは、無敵を誇ったかつてのような洗練されたチームに辻監督が変貌させようとしている証である。(文・氏原英明)


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