■西武

補強ポイント】
・先発、リリーフ問わず即戦力投手
・長打力のある将来の中軸候補

 14年から三年連続のBクラスながら昨年のチーム打率、得点はリーグ2位、チーム本塁打がリーグ1位という数字から分かるように打線に関しては12球団でも屈指の顔ぶれだ。中村剛也(34歳)と栗山巧(34歳)がベテランの域に入り成績が頭打ちなのは不安要素だが捕手の炭谷銀仁朗(30歳)と森友哉(22歳)、セカンドの浅村栄斗(27歳)、センターの秋山翔吾(29歳)とセンターラインがしっかりしているのは頼もしい。中島裕之が抜けて以来レギュラー不在のショートも二年目の呉念庭(24歳)、ルーキーの源田壮亮(24歳)と楽しみな若手が出てきている。即戦力よりも昨年49試合で14本塁打を放ちブレークした山川穂高(26歳)や森とともに中軸を打てる素材の獲得を目指したい。

 投手陣は長年エースとして活躍した岸孝之(33歳)がFAで退団し、昨年チームで唯一規定投球回に到達した菊池雄星(26歳)もメジャー移籍が現実味を帯びてきた。多和田真三郎(24歳)、高橋光成(21歳)、そしてルーキーの今井達也(19歳)とドラフト1位で獲得したスケール豊かな若手本格派がいるのは楽しみだが、菊池以外に計算できる先発投手はいない。またリリーフも牧田和久(33歳)と増田達至(29歳)以外は安定感に欠ける。投手陣の全体的な底上げが必要と言えるだろう。

 即戦力投手では田嶋大樹(JR東日本)、高橋遥人(亜細亜大)のサウスポー二人が狙い目だ。高校時代はともにセンスが目立つ投手だったが、当時とは見違えるようにストレートの威力がアップした。特に田嶋はレベルの高い社会人でも早くから主戦として活躍しており、高校卒3年目のため若さも備えている。菊地の後釜という意味でもぴったりの人材と言えるだろう。

 既定路線で投手が1位指名となるが08年の統一ドラフト以降、2位以内で指名した野手は既に引退した美沢将を除くと前出の森と山川の二人だけということもあり、そろそろ上位で大物野手を狙いたいという気持ちも出てくる。長期的な視点と高校生の長距離打者を育ててきた伝統から、投手を後回しにしてでも清宮、安田に向かう勇気があれば見事という他ない。2位以降で狙えそうな高校生の大砲候補では金成麗生(日大三・外野手)、若林将平(履正社・外野手)、岡田悠希(龍谷大平安・外野手)などの名前が挙がる。三人とも打撃以外に特長はないが、そこに目をつぶって大きく育てられれば面白い選手達だ。

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