■オリックス

補強ポイント】
・ポスト平野のクローザー候補
・若さのある高校生ショート

 14年に2位となった後、中島裕之(35歳)、小谷野栄一(37歳)、ブランコ(退団)、バリントン(退団)など大型補強を敢行して優勝を狙ったがその後の二年間は5位、6位と低迷。昨年の盗塁王でチームトップの打率、安打をマークした糸井嘉男(36歳)がFAで退団したためそこから更なる戦力ダウンは確実だ。しかし悪いことばかりではない。糸井の退団でベテランの多いチームの新陳代謝が進み、若手の抜擢の機運が高まっているのだ。その象徴的存在が昨年のドラフト1位、吉田正尚(24歳)。ルーキーイヤーは故障で出遅れたが、8月以降の42試合で10本塁打と大活躍を見せた。外野手は他にも抜群の守備力を誇る駿太(24歳)、昨年のU-23W杯でベストナインを獲得した武田健吾(23歳)など若手が控えており、数年後に糸井の穴を感じさせない布陣となる可能性は高い。他でも捕手の若月健矢(22歳)、スラッガータイプの奥浪鏡(22歳)、園部聡(22歳)と高校卒の選手に成長の兆しが見られるのは好材料だ。

 投手は今年に限れば悪い布陣ではないが、リリーフ陣が手薄な印象を受ける。セットアッパーの佐藤達也(31歳)に勤続疲労が見られ、サウスポーも海田智行(30歳)一人に頼っているのが現状。守護神の平野佳寿(33歳)も一昨年は防御率4点台と散々だっただけに、そろそろ後釜を準備したいところである。もう一つ気になるのが主力の高齢化。先発、リリーフともに30歳前後の投手が多く、高校卒で戦力になっているのは西勇輝(27歳)と塚原頌平(25歳)くらいしか見当たらない。ここ数年は積極的に高校生投手も獲得しているが、その流れを続ける必要があるだろう。

 まず早急に補強したいのはやはりリリーフ投手。そして今年の候補で最もその需要に当てはまるのは鈴木博志(ヤマハ)である。悪いクセのないフォームから150km台を連発するストレートの迫力は社会人でもトップ。高校卒3年目と若さがあり、阪急時代から社会人出身の選手が多く活躍しているチーム事情を考えてもぴったりの人選と言えるだろう。

 野手で気になるのはショート。レギュラーの安達了一(30歳)は実力者だが昨年は難病に苦しみ、控えの選手もほとんどが同年代ということを考えると活きのいい若手が欲しい。そこでおすすめしたいのが太田英毅(智弁学園・遊撃手)。柔らかい打撃が持ち味で長打力があり、攻守にスケールの大きさも備えている。地元関西出身ということもあり、ぜひ狙いたい選手である。(文・西尾典文)