馬場はチーム唯一の大学生で、195㎝・88kgのアウトサイドプレイヤーだ。元日本代表選手の父を持ち、アスリート能力に限れば最高の日本人プレイヤーだろう。今回の連戦は途中交代の「シックスマン」としてしっかり役割を果たしている。11日は18分57秒の出場時間で3つのダンクシュートを含む9得点を挙げ、12日は25分24秒とプレータイムを伸ばして7得点を記録した。

 馬場は現状だとシューティングガード、スモールフォワードで起用されている。しかし将来的には田臥や富樫と同じポイントガードとなり、日本代表の「司令塔」となるべく英才教育を施されている。1月上旬のオールジャパンが終わって今回の合宿が終わるまでのオフ期間を利用して、彼はパヴィチェヴィッチ暫定HC、バスケ協会の佐藤晃一スポーツパフォーマンス部会委員長から「2対1」の特訓を受けていた。その間にはBリーグの会場で馬場がパヴィチェヴィッチ暫定HC、佐々宜央アシスタントコーチに挟まれ「授業」を受けている様子もあった。

 今回のイラン戦には参加していないが、アメリカでは渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大)、八村塁(ゴンザカ大)がちょうどNCAAのシーズンを戦っている。世代交代が必ずしもスムーズに進んでいなかったバスケ界にとって、こういった若手の存在と台頭は明るい材料だ。

 パヴィチェヴィッチ暫定HCが昨年12月に就任してから、リーグ戦中にもかかわらず2度の短期合宿が開催され、チーム側もそれに協力した。チームや選手から見れば負担も大きいスケジュールだが、調整がスムーズに進んだことは協会の求心力が強まった証明。「代表優先」がバスケ界の常識になったことを見て取れた。

 バスケ界の改革はBリーグ単体ではなく、当初から代表強化、協会のガバナンス改革がワンセットで行われていた。協会とリーグが密接に関わり、代表の強化に時間とリソースが割かれるようになったことは改革の所産だ。(文・大島和人)