常に前を向きながら相手DFと戦うことができる金崎がいれば、高い位置に明確なターゲットを作ることができる。それは同時に、レアル・マドリーのディフェンスを相手陣内に引っ張り込むことになるため、相手に波状攻撃をさせない効果も期待できるのだ。

 準決勝のレアル・マドリーは長旅の影響もあってか、クラブ・アメリカを相手にあまり前からプレッシャーをかけず、やや自陣寄りに構えて攻撃を阻止し、ボールを持ったら全体を押し上げる戦い方をしていた。そこから中2日でどう変わってくるのか、あるいはあまり変えないのかが1つ注目点になってくるが、鹿島としては前半のうちに失点しないことだ。

 ただ、最初から守りに入ってしまうとレアル・マドリーにリズムを掴ませ、ゴール前で個の力を発揮しやすい状況になるため、プレッシャーや攻撃の姿勢を見せ続けることが重要だ。そうした戦い方の結果として、少なくとも0-0で後半の勝負に持って行ければレアル・マドリーもより難しくなるし、準決勝で衝撃的な3点目を決めた鈴木優磨も投入できる。

 もちろん金崎がベンチスタートなら彼の投入が勢いをもたらせるが、接戦に持ち込むことでスリリングな状況になれば、慣れない環境の戦いでレアル・マドリーに思わぬミスも起こりやすくなる。そういった隙をしたたかに突いて世界タイトルを貪欲に狙っていくべきだ。(文・河治良幸)