そんな吉田の今後について、大きなポイントになりそうなのが、クラブとの契約期間が残り18カ月となったジョゼ・フォンテの去就だ。マンチェスターUやエバートンが獲得に動いているとされるなか、強い興味を持っているのが、昨季までサウザンプトンで指揮を執ったロナルド・クーマン監督のいるエバートンだ。高級紙『ガーディアン』も、「サウザンプトンが1月の市場でフォンテの退団を認めた」とし、守備に穴が散見されるエバートンを「移籍先の最有力候補」として伝えている。

 フォンテの退団が決まれば、定位置獲得を目指す吉田にとって間違いなく追い風になる。だが同時に、クラブがフォンテに代わる新たなCBを補強する報道もなされており、候補として、トッテナムで出場機会が限られているケビン・ヴィマーの名前が挙がっている。オーストリア代表DFが加われば、CBの定位置争いは再び激化するだろう。

 サウザンプトン在籍5季目を迎えた吉田も、こうした競争の激しいプレミアリーグの厳しさを実感しており、「どこかに誰かが行っても、結局、新しく良い選手を取ってくる。競争があるのは変わらないので、あまり人に左右されずに」と気を引き締めながら、自分のプレーに集中していきたいと話す。

 そして、こうも言う。

「もっとコンスタントに、いいパフォーマンスを継続して出す。いい時もあれば悪い時もあるっていうのではなく、チャンスが来たときに、やっぱり高いアベレージで、いいプレーをずっと出していかないといけない。その先に、いつかチャンスが来るだろうと思っているので。幸運にも今季はヨーロッパリーグもあって毎週試合に出ていて、コンディションも整ってきている。何かきっかけがあれば、監督が『(CBを)代えてみたいな』と思うようなパフォーマンスを続けていくこと」

 現状として、吉田は足元を見つめて一歩、一歩、サウザンプトンで前進していく気持ちが強いのだろう。ただし、クラブと吉田の契約期間は残り18カ月。少なくとも来年のどこかのタイミングで、「残留か、移籍か」の決断を下さなければならない。

 「フォンテの去就」や「新たなCBを獲得する可能性」といった様々な要因を頭の片隅に入れながら、いかに自分が成長していけるか、どの選択肢がベストなのかを考えて、決断を下す必要があるということだ。(文・田嶋コウスケ)