「作品と地域の2つをお借りする取り組みですので、常に細心の注意を払っています。版元さんには作品の寿命を延ばし、コアなファンを作るお手伝いを。地域の方には、実際のお客さんが訪れてくれるという実績をしっかりと出せるように考えて実行しています」

 製作と地域の双方が“ウインウイン”となるよう、「聖地」を新たに創り出してしまうこともある。

 例えば、16年3月から、「Wake Up, Girls! Another Real」というラリーゲームがアプリ内で提供されている。これは仙台のご当地アイドルを描いたアニメ「Wake Up, Girls!」の世界観に触れながら、仙台空港を拠点に、北は気仙沼・鳴子から南は白石まで宮城県内の7つのエリアを巡るというもの。各エリアでは、その地域の食や文化に結びついたオリジナルストーリーを聴き、作品の新たな世界に触れることができる。アニメ本編では仙台市と気仙沼市など一部の地域しか登場しなかったため、「舞台めぐり」が先導して公式に「聖地」を県内全域に広げた格好だ。

 キャラクターを地域に持ち込む際に、1つだけ気をつけていることがあるという。安彦さんはこう説明する。

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