CS第5戦を終え、握手するソフトバンクの工藤監督(左)と日本ハムの栗山監督=2016年10月16日 (c)朝日新聞社
CS第5戦を終え、握手するソフトバンクの工藤監督(左)と日本ハムの栗山監督=2016年10月16日 (c)朝日新聞社

 日本ハムの10年ぶりの日本一で幕を閉じた2016年シーズン。新たなスターが出現し、多くの選手が活躍したが、その中で指揮官たちが果たした役割は非常に大きい。順位だけでなく、試合中の采配、若手起用、チーム作りも含めて、今季のパ・リーグ6球団の監督たちを査定したい。

【日本ハム】
栗山英樹監督:100点
 最大11.5ゲーム差を逆転してのリーグ優勝、そして2連敗からの4連勝で成し遂げた10年ぶりの日本一。その中での栗山采配は“マジック”と呼ぶに相応しいものだった。先入観にとらわれない柔軟で大胆な選手起用と、それによる若手の育成術に長け、これまでは勝負に対する“欲”の欠如が指摘されることもあったが、今季は勝負に対する執念といやらしさも見せた。何より、チームと地元・北海道への愛が選手を動かし、ファンの心に響いた。満点のシーズンだ。

【ソフトバンク】
工藤公康監督:55点
 巨大戦力を有し、今季も圧倒的な強さで首位を快走していたはずが、まさかの大逆転を食らって完全な引き立て役に回った。勝っているときはいい部分ばかりが取り上げられたが、負け始めると重箱の隅をつつくように敗因を探られ、それによって工藤監督の好き嫌いによる選手起用、自らの指導法の押し付け、求心力の低下など多くの批判の声が聞かれるようになった。来季は勝負の3年目。ドラフトで田中正義(創価大)を引き当てたように、まだまだ“運”は持っている。

【ロッテ】
伊東勤監督:75点
 今季も決して前評判は高くなかったが、やり繰りを続けながらシーズン終盤に執念の戦いを見せてAクラス入り。監督4年目の今季は、地に足を付けながら、かつ大胆な作戦でライバル球団を苦しめた。選手育成にも手腕を発揮し、特に田村を正捕手に育て上げた点は、高く評価できるだろう。年々、戦力は整ってきており、昨年のドラフト1位・平沢、そして今年のドラフト1位・佐々木千隼(桜美林大)が1軍で活躍できれば、さらに楽しみ。優勝争いの中での采配を見たい。

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