【回答】


 自宅で行う1対1の介護と、複数の入居者に対応するホームでの介護は同じではありません。これまで一人で見てきたあなたにとって、ホームの介護が物足りなく感じられるのは仕方のないことだと思います。ただ、いくら職員配置が手厚いホームであっても、「常に母親のそばにいてほしい、特に目を掛けてほしい」というのは無理な注文です。

 ホームに介護力がなければ論外ですが、気持ちに折り合いをつけるためにも、施設長やケアのリーダーにあなたの正直な思いを伝えてみてはどうでしょうか。いかに家族の心情を理解してくれるかどうかで、ホームの力量もわかります。理不尽な要求でない限り、誠意をもって対応する姿勢が見られなければ、ほかに移ることを考えてもよいと思います。

 ホームにとって家族からの意見は貴重なものですが、最近は「お金を払っているのだから」という権利意識の高い家族への対応に苦慮するホームも増えています。認知症の介護は家族だけではいつかは限界がきます。家族のほうも「共に介護を担っている仲間」という意識を持ってホームとお付き合いするのがよいと思います。

【お悩み その3】夫の定年後も義母のホーム費用が払えるか心配(59歳女性)
 在宅介護を経て、姑が有料老人ホームに入って5年になります。何かあれば私がお世話をし、ホームとの窓口になってきました。夫と義姉(夫の姉)は、都合のよいときに訪ねるだけです。また、ホームの費用はわが家の家計から出していますが、夫は来年定年を迎えます。自分たちの生活を考えると不安で、私一人が気をもんでいます。今後どうすればいいのでしょうか。

【回答】
 息子の妻が介護を担っている割合は年々低くなっているなかで、50代という若さで、これまで本当によくやってこられたと思います。昔と違って、きょうだいの数が少なくなったので、夫は夫の親、妻は妻の親の介護をする「介護は実子」というのが近年は増えているようです。

 ホームの費用負担については、お姉さまを含め、家族で話し合う必要があるでしょう。場合によっては、ホームを移ることも考えられます。経済的なことが心配とのことですが、気が休まらないのは、知らん顔の義姉、自分たちの人生設計を考えない夫への歯がゆい思いがあるからではないでしょうか。

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