毎試合が総力戦のプレーオフでは当然のように接戦の連続となるもの。ブルペンの重要度は言うまでもなく、そんな中でクローザーの乱調は不安材料に違いない。キンブレルがこのまま“ノーコン病”を続ければ、常に安定したコントロール、コマンドを誇る上原に、より重要な場面が託されても不思議はない。

 あの伝説的な2013年秋———。レッドソックスが前年の地区最下位から一躍世界一にまで駆け上がった印象的なシーズンで、上原はプレーオフ通算13試合で防御率0.66と大活躍。快進撃の立役者の一人となり、ボストンの街ではヒーロー的な存在になったのだった。

 あれから3年が過ぎ、昨季も最下位だった名門球団は再びの奇跡を狙っている。今秋のMLBで歴史は繰り返すのか。そんなミラクルが再現されるとすれば、2013年同様、上原の働きは不可欠なものとなるはずだ。

 7月のオールスター以降、上原は14試合で13回1/3を投げて6安打無失点、15奪三振。特に驚異のスピードで故障からカムバックして以降の投球を見る限り、百戦錬磨の大ベテランが、10~11月に再び全米から脚光を浴びることになっても驚くべきではなさそうである。(文・杉浦大介)