「代表にフィットしない」という意見かもしれないが、結果を残している選手をフィットさせるのが監督の仕事である。監督の主観で選ぶことは本来的に許されているが、それで負けた後に「人材がおらず、決定力不足」と嘆かれても、筋が通らない。正しい競争原理も働かないだろう。

 あくまで個人的な見解を言えば、FW、MF以外にも「選ばれるべき選手」はいる。

 柏で「潮目を変えるセービング」を見せるリオ世代の新鋭GK中村航輔は、欧州でベンチにすら座れない川島永嗣(メス/フランス)よりも選出にふさわしい。スペイン2部のヒムナスティック・タラゴナでレギュラーを確保したセンターバック鈴木大輔は、世界の猛者を相手に堂々とした戦いを見せる。代表スタッフは最近の彼のプレーをスカウティングしていないかもしれないが、今や日本代表のバックラインを担えるほど成長を遂げている。

 とは言え、外野の声はほぼ意味がない。監督は選考には全権を託され、そうあるべきでもある。ただ、指揮官自身が選手の力を信じられないなら、チームとして機能するはずはない。

 イラク、オーストラリアとの決戦では、まず「選ばれた選手」が最高の戦いをすることが望まれる。(文=スポーツライター・小宮良之)