そのような相手の布陣や、全米オープンでベスト4まで勝ち進んだ錦織の体調面、さらには日本チームの将来性など、様々な条件を勘案してのことだろう。開幕前日の9月15日に日本陣営が発表したオーダーは、シングルスが23歳のダニエルと20歳の西岡という若い2人、そしてダブルスには錦織/杉田の“兄貴分”2選手を配する、過去にないフレッシュな構成となった。

 これまで代表に選ばれながらもダブルス起用の多かった若い西岡にとって、今回シングルスの選手として日本代表に抜擢されたことは、モチベーション上でも経験的にも、とてつもなく大きな意味を持つだろう。錦織は以前「デビスカップは、自分ひとりのことではない。勝った時に得るものは物凄く大きい」と自身の経験を踏まえて語ったが、西岡にしてみればその“デ杯でしか手にできないもの”をつかむ、千載一遇のチャンスである。

 一人の突出したスター選手の出現により国そのものがデ杯で上位進出を果たし、他の選手たちもデ杯の高次元のステージで踏んだ経験を元に急成長する現象は、テニス界では見慣れた光景である。

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