最近では、英国がその好例。2013年に、アンディ・マリーの活躍によりワールドグループに昇格した英国は、2015年にはマリーの獅子奮迅の活躍により79年ぶりに頂点へ。さらには、その道程で代表として戦ったダニエル・エバンスやカイル・エドムンドといった選手たちが、現在ツアーでも大躍進を見せている。その結果、現在の世界ランキングでは、2位のマリーを筆頭に4人の英国人選手がトップ100以内に座している。特に21歳のエドムンドは、昨年のデ杯決勝戦のシングルスに大抜擢され、破れはしたが「デ杯での試合が大きな自信になった」と明言。今季は対セルビア戦で、チームの命運を掛けた一戦に勝利し母国をベスト4に導くなど、デ杯での経験と自信をジャンピングボードに、地力をつけた選手である。

 ちなみにこのエドムンドと西岡は、ジュニア時代からのライバル。西岡が常に意識する存在であり、そのエドムンドがデ杯でいち早く活躍していることは、無類の負けず嫌いである西岡にとっても刺激になっていただろう。今度は西岡自身が、デ杯の経験を生かすチャンスである。

 そのように、若い力で負けられない一戦に挑む日本にとって何より心強いのは、後ろにはエースの錦織が、どっしり構えてくれているという事実。実はデ杯のオーダーは、試合当日にも変更することができる。今のところシングルスには出ない予定の錦織ではあるが、そこまでの展開次第では最終日に登場の可能性もあり、そのことが西岡やダニエルの心の負担を、相当に軽くしているだろう。

 国の命運を懸けた中での西岡やダニエルの戦い、既に多くの場数を踏む錦織/杉田によるダブルスの連携、そして最終日に振るわれる可能性のある監督の手腕――。

 今回のデ杯の戦いは、今後の日本テニス界の展望や選手たちの行方を占う上でも、かつてない程に見どころと期待感に満ちた大一番となる。(文・内田暁)