手倉森監督は試合後、リオ五輪での戦いを振り返った。「修羅場を経験してない監督と選手が、つまらないミスしたら思い知らされるな。いまの選手の技術力を考えると、足りないのは経験。U-20などの世界大会に出ていれば、今大会のプアーな失点は防げたのかな」とナイジェリア戦での大量失点を悔やんだ。さらに「やった選手とスタッフだけがこういうことを悔しがるだけではもったいない。世界のスタンダードを獲得すべきトレーニングをサッカー協会とJリーグは連動しないといけない」と、ブツ切れになっている強化態勢に苦言を呈していた。



 初戦の重要性を誰もが認識しながら、ナイジェリア戦では早々に失点した。それが最後まで重くのしかかり、日本はグループリーグでの敗退を余儀なくされた。しかしながら、ナイジェリア戦は2-5からよく1点差まで追い上げた。コロンビア戦もまた、0-2のビハインドから同点に持ち込んだものだと思う。それを手倉森監督は「メダルを目指さなければ、打ちのめされたかもしれない。それがあったから、しぶとさを育むことができたかな」と振り返っていた。

 初めて経験した世界の“修羅場”。その経験を若い選手たちは週末のJリーグでどう生かすのか。若返りのなかなか進まないA代表へ新風を吹き込む意味でもJリーグでの活躍は、手倉森ジャパンの一員として義務でもある。

(現地取材=サッカージャーナリスト・六川亨)