それは、PGAツアーのスタッツで垣間見ることができる。まずはパーオン率だ。この試合での松山はパーオン率が81.94%で4位タイ。第2ラウンドと最終ラウンドでは18ホール中16ホールでパーオンし88.89%とショットが好調だった。特に最終日は5番以降は全てのホールでパーオンに成功。ゴルフにタラレバはつきものだが、パットがもっと決まっていれば日本男子初の海外メジャー制覇に届いた可能性は高い。

 そして、ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーンにも、松山の好成績の秘密が詰まっている。このスタッツは簡単に言うと、ショットがどのくらいスコアに貢献しているかというデータ。それがこの大会では、4日間合計で出場選手中トップの12.908をマークしており、入らなかったパッティングの代わりに松山のゴルフを支えていたことになる。

 2014年が4位、15年が7位、今季が5位とこのスタッツがツアートップクラスの松山だったが、今週はトップの数字を叩き出した。つまり、これは練習ラウンドで調子が良かったショットが本戦で崩れるという最近の流れを断ち切ったということ。「4日間、久しぶりにいいプレーができてうれしかった」と松山も手応えを感じていたようだ。

 こうなると、後は短いバーディチャンスで何度も外していたパットを修正すること。本人も「勝つためにはスコアを伸ばすためのパットが入らないと勝負にならない」とグリーン上の不調を口にした。

 この後、米ツアーは現地時間18日のウィンダム選手権を最後に、翌週のザ・バークレイズからFedExカップ・プレーオフに突入する。悲願のメジャー優勝は来年以降に持ち越しとなったが、残された課題を克服すれば、来シーズン以降の年間王者への道は大きく開けるはずだ。(文・田村一人)