定期的に歯科検診を受けると体も健康になる!(『日本人はこうして歯を失っていく』より)
定期的に歯科検診を受けると体も健康になる!(『日本人はこうして歯を失っていく』より)

 歯周病は、中年以降の日本人では80%がかかっている病気だ。初期は目立った症状がなく、ゆっくり進行するため、「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれ、日本人が歯を失う最も大きな原因となっている。

 しかし安心してほしい。歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのだ。それなのに、世の中には歯周病の専門家から見て、首をかしげたくなるような不正確な情報が蔓延(まんえん)しているという。

 そこで、歯周病の原因・治療・予防についての研究や歯科医師の教育を行っている日本歯周病学会と、日本臨床歯周病学会が全面的に協力し、歯周病に関する“正しい”知識の普及を目的とした初の書籍、『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)を発売。本書から特別に、歯周病の衝撃的新事実5つを紹介する。

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【新事実1 とくに「男性」の喫煙者は重度の歯周病にかかりやすい】

 「喫煙」は、歯周病を悪化させるリスク因子の一つ。国立がん研究センターが1164人(男性552人、女性612人)を対象におこなった疫学調査で、「男性」は自らタバコを吸う人はもちろんのこと、人の煙を吸う「受動喫煙」でも歯周病のリスクが高まることが明らかになりました。

 「男性」で「受動喫煙経験のない非喫煙者」をベースに比較したところ、「喫煙者」は約3.3倍、「家庭のみで受動喫煙経験のある非喫煙者」では約3.1倍、「家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者」では約3.6倍、重度の歯周病になるリスクが高くなりました。

 タバコのニコチンは歯周病をひき起こす歯周病菌の発育を促し、その病原性を高めます。受動喫煙でも同様のメカニズムで歯周病の悪化に拍車をかけることが推察されます。

 この研究では、女性の場合は受動喫煙と歯周病との間に関連がみられず、その理由は不明とされています。ただし受動喫煙は、心筋梗塞やぜんそく、早産など健康にさまざまな悪影響を及ぼすことは明らかです。男性女性問わず、タバコには注意をしてください。

<まとめ>
・喫煙者でなくても「受動喫煙」で、歯周病のリスクが高まることが明らかに
・男性で「喫煙者」は約3.3倍、「家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者」は約3.6倍

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