ロンドン五輪での馬術競技の様子。(写真:Getty Images)
ロンドン五輪での馬術競技の様子。(写真:Getty Images)

 日本馬術連盟は6月2日、ドイツのハーゲンで行われた選考会で、リオ五輪の馬場馬術代表に北井裕子(アシェンダ乗馬学校)ら4選手が決定したと発表した。前回のロンドン五輪に日本史上最年長の71歳で出場した法華津寛は選考会の基準を満たせず、参加していない。

 リオ五輪の公式種目となっている馬術競技だが、いったい何をどう競うのか、内容やルールなどを理解していない人も少なくない。そこで日本馬術連盟に馬術競技の基本を解説してもらった。

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 馬術競技は五輪で唯一、男女一緒に行う競技です。障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3種目があり、それぞれに異なる特徴があります。

 障害馬術は、競技アリーナに設置された様々な色や形の障害物を、決められた順番通りに飛越、走行するもので、障害物の落下や不従順などのミスなく、早くゴールすることが求められます。障害物の大きさは、五輪などのトップレベルの大会では、高さは160cm、幅(奥行き)は200cmを超えるものもあり、選手の技術と馬の能力、さらにそのコンビネーションが揃ってこそ、迫力と華麗さを兼ね備えた走行や飛越をみせることができます。

 馬場馬術は20m×60mの長方形のアリーナの中で様々な図形を描いたり、ステップを踏んだりして、その演技の正確さや美しさを表現する採点競技で、馬に乗って行うフィギュアスケートのようなスポーツです。五輪では最高難度のグランプリクラスで行われます。いろいろなワザがありますが、たとえば、肢を高く上げて躍動感をもって進む《パッサージュ》、同じリズムを保ったまま、ほぼその場で足踏みをする《ピアッフェ》。後ろの肢を中心にその場で円を描く《ピルーエット》。また、1歩ごと、あるいは2歩ごとに、ステップの左右を入れ替えるフライングチェンジ(踏歩変換)など。これらのワザをいかに高いクオリティで行うか、また、馬への合図をなるべく小さくして、馬が自ら演技しているように見せられるかが勝負です。

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