中国人との会話のきっかけとしてのアニメを見るようになった山下さんは、自身もすっかり日本アニメファンになり、コスプレ姿でコミケにも通うように……。13年には、ピカチュウのコスプレ姿で等身大人形「薇薇(ウェイウェイ)」とともにコミケ会場に向かう「痛い」動画をアップすると「おかしな日本人がいる!」とたちまちネット上で話題になった。この動画をシリーズでアップすると、再生回数はグングンと伸びていった。

 かなり変わった日本人として中国ですっかり市民権を得た山下さんは、14年には新しいネットバラエティー番組にも挑戦。それが中国の若者に日本の今を発信する動画「紳士の大体一分間」だった。

 日本アニメの聖地から日本語スラング、流行しているファッションアイテムまで、山下さんは曜日替わりでさまざまな日本の情報を動画で発信した。現在も毎日更新されているこの動画は、アップされるたびに全てのサイトで平均50~100万回を超える再生回数を記録、大きな支持を得ている。

 これまでアップした動画のなかでも注目されたもののひとつが、日本の高校生の「時間割」について紹介したもの。日本の高校生の時間割を表示するやいなや、動画には視聴者から悲鳴(のコメント)が相次いだ。

受験戦争が激しい国というと韓国を思い浮かべますが、実は中国でもすごく過熱しているんです。中国の学生の時間割を見ると、真四角。朝7時~夜8時頃までびっしり授業が詰まっていて、それが月曜から日曜まで毎日なんです。学校は全寮制なので、ものすごくストイックな環境」(山下さん)

 そのため、日本の時間割を見た中国の学生の多くは、日本がうらやましい!と悲鳴を上げたという。

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