「日本の高校生の、土日休みの時間割を紹介したときには『うらやましい!』『日本に行きたい!』と悲鳴をあげる若者がものすごく多かったですね。中国で土日に授業がない学校の学生からも、日本の午後3時前後に授業が終わる時間割に衝撃を受けたようです。彼らは『俺たちの小学校の時間割じゃないか!』と愕然としていました」(山下さん)

 中国と日本が「近くて遠い国」であることを感じさせるエピソードでもある。

 中国のネット環境は特殊だ。フェイスブックやツイッター、日本のニコニコ動画などにはアクセスできないので、中国版ツイッター「微博」や、中国版ニコ動「ビリビリ動画」など、“国産”の媒体がその代わりを果たしている。

 こうした制約があるなかでも、国内ネットユーザーは6億人と言われ、ユーザー数では世界屈指。この特殊な環境に、山下さんは強く惹かれるという。

「僕はネットにも“国境”があってしかるべきかな、とも考えているんです。日本に鎖国時代があって、そのために日本独自の文化が生まれたように、中国のネットも外国の影響を受けないことで生まれる独自性があるんじゃないかと思います。世界とは違うテンポで発展していく気がして、楽しみですよね。僕はできればそれを、現地中国で、最前線で見てみたいと思っています」

 山下さんがネットを通じて、日中関係の“救世主”になる日も近い!?

(ライター・横田 泉)