一方で、上の子自身も「自分はお兄ちゃん、お姉ちゃんになったぞ」と感じ、今までとは違う自分を作り、「上の子」を演じようという努力もしています。

「ママの役割は、そうした第1子のけなげな思いをくみ取ってあげることです。そして、できる限り第1子と過ごす時間を作ってあげましょう。抱っこをしたり、『あなたもかけがえのない存在だよ』と第1子に伝えてあげたりすれば、赤ちゃん返りも次第に落ち着いてくるものですよ」(磯崎先生)

 では、第1子に向いている職業には、何があるのでしょうか?

 慎重で几帳面、責任感がある第1子は、宇宙飛行士、弁護士、政治家、教師など、社会的な地位の高い職業を目指す傾向があり、堅実に仕事をこなす傾向があるようです。

 例えば弁護士で政治家のヒラリー・クリントンさんも長女です。ヒラリーさんは弁護士としてキャリアを積み、ビル・クリントン元米大統領のファーストレディーとして活躍しました。その後、オバマ大統領下で国務長官を務め、アメリカの次期大統領選挙では、有力候補といわれています。

 宇宙飛行士の向井千秋も長女です。中学時代から医師を志し、群馬から上京した向井さんは、夢をかなえ外科医として活躍しました。その後、日本人女性初の宇宙飛行士に。医学生時代にはスキーの選手として回転で優勝し、文武両道の面もあります。

 アップル社の共同創業者、スティーブ・ジョブズも長男です。IT化の未来を予知し、数々のイノベーションをもたらした発明家、カリスマ経営者として活躍しました。一方、完璧主義で他者に厳しいことでも知られていました。

 プライドが高く頑固なことからチームプレーは苦手だと言われている第1子。でも、ピッチャーは自己完結的な要素が強く、長子向きの傾向も。松坂大輔選手なども長男です。

植松メンタルヘルス・ルーム主宰 植松紀子先生
日本大学講師、臨床心理士。児童相談所、「こどもの城」小児保健部などを経て現職。『6歳までの子どものほめ方叱り方』(すばる舎)ほか、著書多数

「きょうだい型人間学」研究の第一人者 磯崎三喜年先生
国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科教授。著書に『きょうだい型人間学―性格の相性を見ぬく』(河出書房新社)ほか

※AERA with Baby 2016年2月号より抜粋