アメリカの弁護士で政治家のヒラリー・クリントンさんも長女 (c)朝日新聞社
アメリカの弁護士で政治家のヒラリー・クリントンさんも長女 (c)朝日新聞社
宇宙飛行士の向井千秋さん (c)朝日新聞社
宇宙飛行士の向井千秋さん (c)朝日新聞社
アップル社の共同創業者、スティーブ・ジョブズさんも長男だ (c)朝日新聞社
アップル社の共同創業者、スティーブ・ジョブズさんも長男だ (c)朝日新聞社

 初めての子育ては不安がいっぱい。「しつけなんて全然わからない!」というママも多いはず。そんなママたちの悩みを解決するべく『AERA with Baby2月号』(朝日新聞出版)では、「第1子のしつけ」を取材しました。頑張れば頑張るほど空回りをしてしまうママの不安と疑問を解決します!

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 編集部が子育て中のママに街頭インタビューを行ったところ、見えてきたのは、「第1子だから」と頑張りすぎているママがたくさんいたこと。

「しつけなどの子育ての相談は、第1子の親が多いですね」というのは、自治体の乳児健診や、自身が主宰するメンタルヘルス・ルームで、多くのママの悩みに答えてきた植松紀子先生。

 確かに第1子には、親が期待しすぎたり、情報に振り回されたりする傾向があるそう。2歳のころから習い事やお勉強ばかりで母子関係がうまくいかないケースや、「赤ちゃん言葉はNG」と信じ、赤ちゃんが発した言葉を、全部大人の言葉に言い直すことで、逆に赤ちゃんの言語の発達が著しく遅れてしまっていたケースもあるそうです。

 また、第1子の子育てでついやってしまいがちな接し方を街頭インタビューで伺ったところ、「子どもを甘やかしてしまう」という声が多くありました。目の前にあるリモコンを「パパ、取って!」とお願いする甘えん坊女児も。一方で、「しつけが厳しすぎでは?」とおばあちゃんに指摘されたというママもいました。子どもに良かれと思ってやっていることでも、ママのひとりよがりになっていることもあるのです。

「第1子を育てているママやパパはみんな手探り。日々『初めてでわからない』ことばかりに直面するのですから、悩んでしまうのは仕方がないのです」と植松先生は話します。

 そんななか植松先生は、「第1子にどう接したらいいのかわからない」というママに向けて、大切にしてほしいことがあるといいます。「それは遊び。ママが子どもと一緒に遊べば、子どもの様子に敏感になり、心や行動を理解できるようになります」

「遊び=暇つぶし」だから意味がないと思っているママもいるようですが、遊びこそが子どもの発達を援助するもの。実際、先生も心の治療のためにプレイ(遊び)セラピーを実施しています。
 一緒に「遊ぶ」ということであれば、今すぐ実践できそうというママも多いのでは?

「遊びを通じて子どもの心を理解し、親子関係の土台となる信頼感を築くこと、それこそが今の時期に最も大切なしつけなのです」

 また、ママが下の子を妊娠・出産したとたん甘えが強くなり、ママから離れなくなったり、下の子を叩いたりしてしまう「赤ちゃんが返り」。これはどの子にもおこることです。

「上の子からしてみれば、これまで自分が100%独占してきたママの愛情を奪う、邪魔な存在が出現したと感じるのは仕方のないこと。過剰に甘えたり、いたずらをしたりするのは、自分にも関心を向けてもらいたいからなんですね」と話すのは、国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科教授で、「きょうだい型人間学」研究の第一人者でもある磯崎三喜年先生です。

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