攻撃から守備、守備から攻撃の切り替えの速さもバルセロナの大きな武器で、49分と68分のスアレスの追加点は、リバープレートが前掛かりになったところでカウンター仕掛けて奪ったゴールだった。

 今季のスペイン・リーグでネイマールは14得点、スアレスが13得点と得点ランクの1位と2位を占めている。メッシはケガのため2カ月ほど戦列を離れていたが、それでも5得点で、チームの36得点のうち3人で32点を稼ぎ出している。

 バルセロナの勝利は確実なだけに、スタジアムにいたバルセロナ・ファンの誰もがネイマールのゴールに期待していた。メッシやスアレスもネイマールのゴールをお膳立てしようとしたが、実現しなかった。これが唯一の心残りだったかもしれない。

 それにしても、2日前は入院していたというのが信じられないメッシのプレーだった。リバープレートの3~4人掛かりのマークにも動じることなくボールをキープし、突破を狙う。“緩”から“急”への一瞬のスピードアップ、それも最初の一歩の速さでマーカーを無力化するのがメッシの真骨頂でもある。

 バルセロナであらゆるタイトルと名声を得たメッシだが、この日のプレーを見る限り、サッカーへの情熱はいまだ衰えることはないようだ。そんなメッシとドリームチームのバルセロナをストップするチームが現れるとしたら、欧州のチーム以外にないのではないか。それほど力の差を感じたクラブワールドカップの決勝戦だった。

(サッカージャーナリスト・六川亨)