メニュー作りには並々ならぬこだわりがある。どの国の朝食を実施するか決めたら、必ず現地の人に検証をしてもらいながら、時間をかけて何度も試作を重ねる。今回のモロッコの朝食も、モロッコ大使館の人々に協力をあおいで現地の味を学んだ。

 これまでで反響が大きかったメニューのひとつに、ペルーの朝食のひとつ「タマル」がある。これはバナナの葉に包まれた、トウモロコシのチマキのようなもの。ペルーでは街を「タマル売り」が歩いており、人々は朝食用に買い求めるのだという。

 このタマル、実はもっとも反響があったのは日本に住むペルー人からだった。ペルーの人にとってタマルは「1カ月に1回は食べたくなる」(来店したペルー人客談)もの。だが、日本で売っている店は少なく、あっても高額だったり、冷凍だったりと味がいまいちなことが少なくない。

 それがこの店で食べられると聞きつけて、多くのペルー人が訪れた。来店したペルー人は皆「この味だ」と懐かしんでいったという。これまでもその国の人が来店することはあったというが、在日のペルー人は比較的多いことも相まって、「ペルーの朝食」は特に好評だった。「世界の朝食」の再現性の高さが、証明されたエピソードと言えるだろう。

 現地人への綿密な聞き取りと、度重なる試作によって作られる、再現性の高い「世界の朝食」。食べながらその国の朝に思いを巡らせるのもいいかもしれない。

(ライター・横田 泉)