「とても古い型のデザインのものやサイズが合わないことも珍しくありません。そんな時は自前の衣装を着ます。もちろん時間に余裕があればスタイリストさんにお願いして衣装を変えてもらうこともできます。でも、日頃、女子アナのために衣装を用意して下さるスタイリストさんです。やはり遠慮してしまいますね」(地方局・Bアナ)

 Bアナは、かつてキャスターとしての番組出演時、番組のスポンサーが有名ブティックだったため、現場には何着も衣装が用意されていた。しかし事前に伝えたサイズより小さめで「パツンパツン」だった。このため、ダイエットを決意したとBアナは話す。

「女子アナが体形維持に余念がないのはより多くのバリエーションがそろうサイズの衣装に体を合わせるためでもあるんですよね」

 なかには衣装を用意してもらえない女子アナもいる。

「ロケ先での現場リポートの仕事が多いので。外だと衣装が汚れることもあります。だから衣装はほとんど自前ですね」(全国キー局でリポーターの仕事が多いCアナ)

 ロケ先といった“外の現場”に限らずスタジオでの収録でも、メークや脇汗で局側が用意した衣装を汚してしまった場合、クリーニング代を請求されたり、女子アナ本人による買い取りを求められるケースもある。買い取り額はクリーニング代程度のものもあれば、定価の1掛から6掛が相場だという。

「平日夕方のニュースに毎日出演していた当時、時々、衣装にメークをつけてしまい、衣装を提供した側が、『もう提供したくない』とこぼしていたこともありました」(前出・Cアナ)

 そのため費用はかかっても自前の衣装で出演する女子アナも少なくない。

「衣装代はかかります。でも気楽といえば気楽です。局側から出して頂いた衣装を汚すかもしれないというプレッシャーと、スタイリストさんがわざわざ自分のために用意してくれた衣装を断らずに済む安堵感は大きいです」(同)

 提供店にも事情はある。既に秋物が入ってきている時期には、まだ外は夏で気温が真夏日になろうとも秋物を提供しなければならず、それをアナウンサーが着ていることもある。ここが一般視聴者からみれば、「なんか不思議」と思うゆえんだ。

 その秋物の衣装を着てスタジオで番組出演。ライトも当たる中、すごく暑くてダラダラと汗をかいているが、涼しげな顔で伝え続けるということもしばしばだ。

 画面の向こうの女子アナが、季節感に合わせたごく普通のコーディネートならば自前の衣装、斬新で季節感を先取りし、時に「あれっ?」と思う衣装ならば“借り物”ということもあるのだ。

 いずれにせよ女子アナが、時々、不思議なコーディネートで決めているのは女子アナ本人のせいではないようだ。

(ライター・志村ひな子)