来年の4大大会制覇を狙う錦織圭(写真は2014年10月楽天ジャパンオープン)(c)朝日新聞社 @@写禁
来年の4大大会制覇を狙う錦織圭(写真は2014年10月楽天ジャパンオープン)(c)朝日新聞社 @@写禁

 飛躍と充実のシーズンを終えた錦織圭。世界ランクは5位にまで上がった。なぜ錦織は、才能を一気に開花させられたのだろうか――。

 世界のトップ選手8人だけが出場できるATPワールドツアー・ファイナルに初出場した錦織は、準決勝まで進出、そのポテンシャルの高さを示した。

 今夏の全米オープンでは、準決勝で世界ランク1位のノバク・ジョコビッチを倒し、4大大会で日本人選手初となる決勝進出を果たすなど、まさに勢いに乗っている。

 ウィンブルドンや全豪オープンでベスト8、元世界8位の元プロテニス選手・杉山愛さんが、こう解説する。

「出場するだけでも大変なツアー・ファイナルで、1次リーグで2勝を上げたことは立派の一言です。準決勝のジョコビッチ戦も紙一重の戦いで、逆転してもおかしくなかった。俊敏に動き回るプレーに加えて、より攻撃的なスタイルを構築できたことが飛躍の大きな要因です」

 急激な成長の背景には技術の進歩が欠かせないが、杉山さんは昨年末から指導を仰いでいるマイケル・チャンコーチの存在も見逃せないと言う。

「技術面と体力面ももちろんですが、メンタル的な部分も含めてすべての面でジャンプアップしましたが、それはマイケル・チャンコーチと二人三脚で1年間歩んできた成果でしょう。マイケルも小さな体でしたが、世界で活躍した。その奥義が伝授されているのだと思います。プレーに風格が出てきたことは、マイケルの指導で精神的な強さが出てきた証です」

 こうなると期待されるのは、いよいよ4大大会での優勝だ。高いステージでさらにそのトップを目指すのは、よりタフな戦いになるはず。だが、錦織自身は「勝てない相手はもういない」と自信をのぞかせている。

 ズバリ来年、4大大会での優勝はあるのか。杉山さんはこう太鼓判を押す。

「自分のプレーができれば、誰にでも勝てるテニスが既にできています。今年の全米オープンの決勝では力が出し切れませんでしたが、その決勝の舞台を経験できたことは、次に生きてくるはずです。錦織選手はハードコートを得意としていますので、全豪と全米でタイトルを取る可能性大です。とはいえ全仏、全英も苦手というわけではないので、彼ならどこかで快挙を達成してくれるはずです」

 錦織が来シーズンさらに躍進を遂げ「新時代」が到来する予感は、現実味を帯びてきた。頂点はもうそこに見えている。
(ジャーナリスト・青柳雄介)