■「さすが」と思ったシステム

ひろゆき氏:西野さんみたいにつまらないけど優秀な人って、基本的に「つっこみ」に回るんですよね。頭の回転で「たとえつっこみ」とか「瞬発力」でロジカルに笑いを拾う。テクニックでなんとかなるんですよね。

 でも、「ボケ」を生み出すほうは、才能がないと厳しいです。だから、松本人志さんは頭の回転も速くて、しかも「ボケ」ができるので、かなりすごいと思いますよ。ボケの角度って、感覚というか才能でしかどうにもならない部分ですから。

――ちなみに、日本には海外に通用する笑いはないんですかね?

ひろゆき氏:松本人志さんの「ドキュメンタル」のように、笑ってはいけないことを我慢するシステムを作り出すのは、さすがだと思いますよ。オーストラリア版もありますよね。とはいえ、日本でも海外でも、結局は「下ネタ」に走るのがオチなんですが(笑)。

 あと、「すべらない話」というシステムも優秀ですよね。あれも、本当であれば、自分が発案者なんだから、演者は他の人に任せて自分は司会に徹するのが正しいんですが、自分の名前もサイコロに入れているじゃないですか。「人志松本のすべらない話」という番組名で、自分もすべらない話を披露するって、相当なハードルの高さで、かなり覚悟がないとできませんから。超リスク高いですよね。

――「すべらない話をする」ってやはり難しいですよね?

ひろゆき氏:なかなかできないですよね。たとえば、友達同士で話していても、オチのない話をする人がいるじゃないですか。しかも、そういう人に限って、「最近、めちゃくちゃおもしろい話があってさ!」と語りはじめて、そしてつまらない。

 すべらない話をエピソードだけ持っていてもダメで、おもしろく感じさせる「雰囲気」とか「文脈」とか「声のボリュームの調節」とか、さまざまな要素が絡み合って初めておもしろくなるわけで。

 それをたった1人で作り出せる人は、海外でも通用すると思いますよ。

ひろゆき 
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、20万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。