■大切なのは「想像力」を持つこと

 これは人々の心の問題であるから、解決は容易でないだろう。ただ一つ、われわれが考えるべきことは、「想像力」を持つことの大切さである。「想像力」とは、自分がもしコロナウイルスに感染してしまったらどうなるだろう、そしてその時に周りから冷たい目で見られたらどう思うだろうということである。実際、感染のリスクは決してなくなってはいない。

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルス感染者のうち4割程度は無症状の感染者から感染しているとのことだ。つまり回復した元感染者よりも危険な人たちは、われわれの周りにたくさんいるかもしれないのだ。無症状の感染者、つまり自分が感染者と認識していない人は普通に行動しているだろう。例えばスーパーに行って、そういう無症状感染者がせきをすることでウイルスが付着した食物を手に取ることだってある。

 どれだけ気をつけていても感染リスクをゼロにすることはなかなかできないわけだから、いつ自分が感染者になるかもしれないという想像力は持っておくべきだろう。われわれがそう考えることによって、少しでも差別の解消につながっていくのではないだろうか。

(経済コラムニスト・大江英樹)