2019年1月に、精神科以外では全国初となる「飲酒量低減外来」を開設したことで話題になっている筑波大学地域総合診療医学の吉本尚(ひさし)准教授に至っては、「現代ビジネス」の取材に対して「飲酒は少なくとも約200の病気の発症リスクを高める」と回答している。

「ダイヤモンド・オンライン」でおなじみの慢性痛の名医・北原雅樹医師(横浜市立大学ペインクリニック科)も以前から、「百薬の長どころか『万病の元』だ」と言い続けてきた。

「慢性痛の患者さんには、お酒を普段から飲んでいる人も多い。お酒を長期間、日常的に飲み続けると、体のあちこちに悪影響が表れる可能性があります。なぜならアルコールは神経に対する毒性があるため、末梢神経障害を起こして足先や手先がしびれたり、認知機能の障害を起こしたりする場合があるからです。

 男性ホルモン(テストステロン)の分泌量を減らす作用もあるため、性欲を減退させるのみならず、骨粗しょう症や筋肉量の減少、意欲の低下などを引き起こすこともあります」

 どうやら肝臓だけでは、コーヒー、アルコールのデメリットを「解毒」するのはムリで、本当に健康を考えるなら、「コーヒーは1日1杯」「アルコールはゼロ」が適量ということになる。

 だが、コーヒーもお酒も、体だけでなく「心が欲する飲み物」だ。薬だと思って飲んでいる人が、それほどたくさんいるとは思えない。この際、健康に対する良しあしは置いといて、「おいしいから飲む」「楽しいから飲む」ということで良いのではないだろうか。