●社員はどうしてムダに気づかなかったのか?

 仕事が「風景」になっていたからです。

 正しいやり方でも、同じことを繰り返しているうちに「その仕事は何のためにあるのか」を忘れて、手順どおりにこなすだけになる。

 目的と手段が逆転する。

 仕事を取り巻く環境は常に変化します。
 かつては最適だったやり方も、いまは違うかもしれない。

 本来は、そうした視点で仕事をときどき見直す必要があります。

 ところが、仕事が風景になっている人はそこに気づかず、ムダにコストを発生させてしまう。

 ムダなコストは経費増につながり、営業利益を圧迫します。

 仕事が風景になっていると、P/Lも悪化する。

●社員は、仕事を風景にするのが大得意

社員は、仕事を風景にするのが大得意です。

 当社でやっている「政策勉強会」で、誰も使っていないピンマイクが置いてありました。

「これは何?」
 と聞いたら、

「去年、借りたので、とりあえず今年も借りました」

 経営サポート事業でも、こんなことがありました。

 セミナー会場から懇親会会場への移動にタクシーを予約した。
 ところが、呼んだタクシーのうち7台が余っている。
 きてもらうだけでお金はかかるのでムダな経費です。

 なぜ使わないタクシーを呼んだのか。

 担当者に原因を聞くと、

「セミナーだけ参加して懇親会にこないお客様がいたから」

 セミナーには80人参加し、1台4人として計20台呼んだものの、結局、懇親会に参加するのは13台分の人数だったからでした。

 いまはタクシーを予約する前に、セミナー参加者に懇親会への出欠を確認します。

 仕事が風景になると、こんな簡単なことにも気づかなくなります。

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小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を15年連続増収の優良企業に育てる。2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。2017年にはJR新宿ミライナタワーにもセミナールームをオープンさせた。「数字は人格」をモットーに、700社以上を指導。5社に1社が過去最高益、倒産企業ゼロとなっているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修プログラム(=1日36万円の「かばん持ち」)が話題となり、現在70人・1年3か月待ちの人気となっている。『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『1日36万円のかばん持ち』『残業ゼロがすべてを解決する』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』(あさ出版)、『仕事ができる人の心得【改訂3版】』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。