近年の新車は、壊れにくくなっていますが、メーカーやモデルによって差は大きいようです
近年の新車は、壊れにくくなっていますが、メーカーやモデルによって差は大きいようです

 2015年10月21日、J.D.パワーは、国内で初となる「2015年日本自動車耐久品質調査SM(Vehicle Dependability Study,略称VDS)」を発表しました。新車購入から37~54ヵ月が経過したユーザーを対象とした本調査では、「壊れた」「困った」といった不具合が走行距離に比例する一方で、ユーザーのうち3人に2人は「不具合がない」と回答していることがわかりました。

●購入から3~4.5年経過した車の「不具合経験」を調査

 近年の新車は、メーカーの努力と技術の進化により、壊れにくくなりました。購入初期における不具合の調査(IQS調査)(連載内「新車購入ユーザー調査で判明!ハイテク化が生んだドライバーの“新たな不満”」)では、不具合の指摘件数が減少傾向にあることが明らかになっていますし、ユーザーの実感としても、「車が壊れて大変な目にあった」といった話をほとんど耳にしなくなったのではないでしょうか。

 ただし、車は機械ですので、長く乗るほど壊れやすくなります。もしかしたら3年くらい乗ったところで不具合が出はじめるかもしれませんし、メーカーやモデルによって不具合の出る場所や時期が異なるかもしれません。

 その点を明らかにするための調査が「日本自動車耐久品質調査(以下VDS)」です。

 VDSでは購入から37~54ヵ月経過したユーザーに不具合の有無や詳細を聞いています。聞き取り項目は、外装、走行性能、内装、空調など8分野、計177項目。それらをメーカー、車種、車のセグメント(軽、コンパクト、ミッドサイズなど4タイプ)ごとに集計し、100台あたり何件の不具合がユーザーから指摘されているかを算出しました(スコアはPP100、Problem Per 100で表す)。スコアが小さいほど耐久性が高いことを示します。本調査で対象となった車の平均走行距離は3万3326kmでした。

●トップはレクサス 国産メーカーが上位を独占!

 では、調査結果を見てみましょう。

 ブランド別のスコアでは、レクサスが54点でトップとなり、以下、ダイハツ、ホンダ、三菱、トヨタと国産メーカーが上位を占めました。これら5社が業界平均よりよいスコアとなったブランドです。

 また、車のセグメント別では、軽自動車がアルト(スズキ)、コンパクトカーがキューブ(日産)、ミッドサイズがSAI(トヨタ)、ミニバンがアルファード(トヨタ)がそれぞれ1位となりました。

 この結果からわかるのは、レクサスとダイハツを含むトヨタグループのスコアがよいということです。たとえば、ブランド別でトップのレクサスは、100台あたりの不具合指摘件数が54件ですから、3~4.5年乗っても、2台に1台程度の割合でしか不具合が出ない(指摘がない)ということです。SAIはさらにスコアがよく、3台に1台の割合です。他のブランド・モデルと比較すると、これらは驚異的な数値といえます。

 余談ですが、ランキング上位のSAIやCT200hを製造しているトヨタ自動車九州の宮田工場は、米国J.D. パワーが表彰するプラントアワード(自動車の製造工場を対象とした優秀賞)の常連。米国のIQS調査をベースにして、もっとも不具合が少ない車を作っている工場に贈られるプラチナ賞を過去4回受賞しています。このことからも、トヨタグループが品質維持・向上に熱心に取り組んでいることがうかがえます。

 また、工場の製造・品質管理体制とも関係しますが、ランキング上位のブランドには、ライトの電球切れや、バッテリー上がりといった製造過程に起因する不具合(製造不具合といいます)が少ないという共通点が見られました。

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