こんな感じでいつも人々を癒やしてくれる愛犬ダリ。でも、その中で一番世話になったのは、実をいうと僕だろう。

 母とケンカして家に帰りにくいとき、学校で嫌なことがあったとき、なんだかイライラするとき……。どんなときもダリの顔を見ると、心がすーっと軽くなった。

 受験勉強に疲れたときもダリには散歩に付き合ってもらった。おかげで僕は第1志望の大学に合格することができた。

 志望校に入れたのがうれしかった半面、ダリと離れ離れの生活になることには胸が痛んだ。いまは母が毎日ダリの写真を送ってくれている。

 今度、僕は半年ぶりに帰省する。ダリは僕のことを覚えてくれているだろうか。

「お帰り。ひとり暮らし頑張ってるみたいやん。まあええわ、とりあえずお散歩行こか」

 ダリの声が聞こえる気がする。

(栄 大樹さん 徳島県/20歳/学生)

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