写真界の「世界遺産」から、大いに学べ 森山大道、荒木経惟の「金言」とは? 〈アサヒカメラ〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真界の「世界遺産」から、大いに学べ 森山大道、荒木経惟の「金言」とは?

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アサヒカメラ

『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』より

『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』より

『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』より

『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』より

『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』より

『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』より

『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』より

『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』より

写真のフクシュウ 森山大道の言葉

山内宏泰著 パイ インターナショナル刊

978-4756242600

amazonamazon.co.jp

写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉

山内宏泰著 パイ インターナショナル刊

978-4756242617

amazonamazon.co.jp

 たとえば、
 「すべては光だぞ!」
 とか、
 「写真はものすごい魅力をたたえたメディアで、他のジャンルなんて足元にも及ばない。カメラマンがはっきりそう思って信じてやらなくちゃ、写真に悪いじゃないか」
 など。前者が荒木経惟で、後者は森山大道の言葉だ。または、
 「空間じゃなくて、時間をフレーミングするんだよ」
 こちらは荒木の言い分で、意味するところをくみ取れば、大いに撮影に役立ちそうだ。

 『写真のフクシュウ』という同じタイトルを冠し、色違いで同じ体裁に仕立てた本書には、各冊にこうした荒木、森山それぞれの「ぐっとくる言葉」が集めてある。併せて、半世紀を超える彼らの写真人生の概説と、キーワードから読み解く、ふたりの写真の秘密を付した。
 なぜこうした本をつくるに至ったか。荒木経惟と森山大道という写真家は、もっと、もっと味わい尽くされねばもったいないと切に思ったからだ。

 ふたりの作品の斬新さ、オリジナリティ、時代との強い結びつき、画面の質の高さは群を抜く。いわば写真界における「世界遺産」みたいなもの。日本の、いや世界の写真史に今後末永く名を残す存在なのは間違いない。
 そんな巨星が並び立っている現状を、私たちは、あまりにも当たり前のことと思っていやしないか。雑誌に載った作品をふと目にしたり、新刊写真集を手に取る機会がたくさんあるからといって、ありがたみを忘れちゃいけない。そう強く思った。
 そこで、荒木と森山の世界に再入門する機会をつくろうと考えた。彼らはせっかく「生ける伝説」なのだから、作品とともに厳選したナマの言葉を届けるのがいい。そこから彼らの魅力を紐解いていくのだ。

 この本のため、これまでに文字で記録された彼らのあらゆる発言と書きものを、可能な限りすべて渉猟した。本書に掲載したのは、そのうちのエッセンスである。
 集めはじめてすぐ気づいたけれど、ふたりの言葉の記録はあまりに膨大だった。文章もしゃべりも達者なふたりなので当然かもしれないが、それにしても数が多い。どうやら両者とも若いころから、かなり意識的にメディアへ登場することを心がけてきたフシがある。
 複製され拡散されていくのが写真の特性ならば、写真家もまた複製・拡散されるのが本分だと思い定めてきたかのように見える。常にメディアとともに生きてきたというのは、荒木と森山の大きな特性といえそうだ。

 言葉を漁っていてもうひとつ痛感したのは、荒木と森山は、根幹の考えが非常に似ているということ。一見、作風は大きく異なるけれど、写真の平面性を常に強調して画面をデザイン的にとらえているところ、作品に漂う「情感」を厳しくコントロールしようとする点などは共通する。
 さらにいえば、ふたりともクールに作品をつくろうとしているにもかかわらず、性根が情に厚いものだから、どうしてもそれが画面に滲み出てしまい、その扱いにいつも苦慮しているのも同じ。
 撮るにしろ観るにせよ、写真をもっと楽しみたいというすべての人は、荒木と森山の両巨頭に教えてもらうことが山ほどあると気づくはずだ。

(山内宏泰)


やまうち・ひろやす ライター。1972年愛知生まれ。出版社勤務を経てフリーランスに。美術、写真、文学などについて取材を重ねる。著書に『写真のプロフェッショナル』『G12 トーキョートップギャラリー』『彼女たちーFemale Photographers Now』。共著に『フォトグラファーになるには』など。2013年夏、『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』を著したばかり。その他の近著に、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』がある。


■『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』
山内宏泰著 パイ インターナショナル刊
各1,890円(税込)


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