――協会側は頭、顔をたたくなどの暴力行為があったとしているが。

 過去を振り返ってみれば、頭をひっぱたくことをして、髪の毛を引っ張ってしまったり、ほっぺたを平手で叩いたこともあります。体操協会から出てはないんですが、お尻を蹴ってしまったりだとか、そういうこともありました。

――それは指導の一貫だったのでしょうか。

 私自身、子供の頃にそういう認識を持って大人になっているということがあって、はじめは危険な場面だったり、気持ちの部分で練習に身が入っておらずに危険な場面になってしまうんじゃないというのは自分自身厳しく捉えていて、本当にケガをしたり、命に関わることぐらいだったらということで叩いていました。

――それは指導スタイルとして?

 そう考えていました。

――周りが恐怖を感じるほどの暴力行為だったという認識は?

 その時はそんなことを考えられていなくて、私自身、こういうことになってしまい、どれだけ周りの人に迷惑をかけて、どれだけ僕の指導によって嫌な思いをしたり、練習のさまたげになったり。宮川選手も周りの選手やコーチにとっても、自分中心で考えられていなかった自分がいたと振り返っていま感じているので、そこに対しては申し訳ない思いでいっぱいです。

――仮処分を取り下げたのは。

 取り下げた理由は、大きく分けて2つあります。1つは、最初に処分が出た当初は自分自身も(処分が)重いと思ってしまいました。そして、ニュースでみなさんの意見をたくさん聞いているなかで、処分を軽減するという考え自体が甘いと思いましたし、暴力を根絶する。そして、二度と私のような過ちを犯すコーチが出ないためにも、処分を軽減してもらうのはよくないと、自分自身が思いました。体操協会が下した処分については受け止めるべきだと思いました。

――会見の時に同席しなかったのは?

 最初は考えてはいたんですが、宮川選手自身が自分の口で自分の思いを伝えたいというところがあったので、コーチはコーチは別で会見を開くのがいいんじゃないかと。宮川選手の意見と弁護士の先生と私で相談して、こういう形になりました。

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「よくない」とわかっていながらも…