現在オーディションが行われている、吉本興業の所属タレントによるアイドルユニット「吉本坂46」。5次審査のダンス審査までが終わり、あとはプロデューサー・秋元康氏の最終面接を経て、20日に合格者が発表される。現時点で野沢直子、「ココリコ」遠藤章造、「トレンディエンジェル」斎藤司ら80人が残っているが、その中でも異彩を放っているのが漫才コンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌だ。
番組企画で何時間もかけて並べたドミノを蹴り倒してしまう。トーク番組で先輩芸人がオチを話そうとした瞬間に奇声を上げる。漫才ではツッコミなのに相方がボケてもつっこまない…。“やってはいけないことをやってしまうクセ”を持つ芸人として地元・関西を中心に話題にもなったが、今年は日清の「カップヌードルナイス」のCMにも出演。「吉本坂46」でも最終選考まで残り、今、注目度が急上昇している。
「プラス・マイナス」は6年前に大阪を離れ、東京に拠点を移した。岩橋とは大阪時代から付き合いが深いが、取材メモを見てみると、最初にクセを意識したのは小学2年の時だったという。
「突然、授業中に『ウワーッ!』と叫びたくなったんです。思いが抑えきれなくなって、実際に声をあげた。当然、先生から注意を受けました。ただ、そこで『次、言ったらもっと怒られる。でも、でも、言いたい…』という思いがこみ上げてきたんです。それがクセを初めて実感した時でした」
それからも“テストの時に鉛筆の芯を全部折る”“解答用紙に違う名前を書く”“マークシートを『悪い例』の塗り方で塗っていく”などクセが学校生活のあらゆるところに出て苦労をしてきた。テスト、受験。大切なところでこそ、クセが出てしまう。本当に悩んだ。芸人になってからも、相方の兼光貴史にすらクセのことは隠してきたが、転機となったのは十数年前。デビュー3~4年の時だった。
「同期の『ジャルジャル』のイベントがあって、そこでもクセが出て、ちゃんとしゃべらないといけないのに、誰が聞いてもウソやと分かるような話をしてしまったんです。そこで『ジャルジャル』が『絶対ウソやろ!どんな顔で聞いたらエエねん!』と突っ込んでくれたら、会場がドーンと沸いたんです。その瞬間、衝撃が走ったと言いますか。今まで絶対に表に出さなかったものが爆笑に変わった。『これは、出してもいいものなのか…』と。初めての感情でした」
そこからMBSテレビ「オールザッツ漫才」やABCテレビ「ごきげん!ブランニュ」など関西の番組でクセありきの企画も次々に生まれ、ひた隠しにしてきたクセが大きな武器になった。