徳島市で12日に開幕した「阿波おどり」は、波乱の幕開けとなった。
【遠藤市長が開幕直前の8月10日に阿波おどり振興協会へ出した“恫喝文書”はこちら】
去年までは毎日最後に、1500人の踊り手がおどる「総踊り」がフィナーレとなる名物だったが、今年は突如、中止になった。
このために毎年、初日は桟敷席はどこも満席となるのだが、今年は空席も見られた。総踊りが中止になった理由は、これまで報じられているように徳島市の遠藤良彰市長と阿波おどりの有名連(阿波おどり振興協会等に加盟する阿波踊り連33連のこと。卓越した技量を披露するこれらの連は、前夜祭や選抜阿波おどり大会などの大型イベントへ参加)をたばねる、阿波おどり振興協会が対立したためだ。
そして総踊りが中止となったため、有名連が分散。4つの演舞場で踊る形に変更されたのだ。
これまで総踊りは、阿波おどり期間中、南内町演舞場で午後10時から30分間、阿波おどり振興協会に属する1500人が太鼓、三味線、カネの音に合わせて一糸乱れぬ踊りを披露していた。
だが遠藤市長は、「有名連が分散して踊れば、南内町演舞場以外のチケットも売れるはず。だから総おどりは中止する」との方針を打ち出た。しかし、阿波おどり振興協会の山田実理事長らはこれに強く反発し、こんな爆弾発言が飛び出した。
「遠藤市長は、われわれとの話し合いにすら応じない。強権的な手法で中止を断行した。そんな市長を政治的な思惑で後押ししているのが、地元の徳島新聞と自民党有力国会議員。この問題の背後には阿波踊りの利権がある。このままでは引き下がれない。13日午後10時にわれわれの手で『総踊り』を復活させる」(同協会幹部)
阿波踊りが開幕した12日に、山田理事長らが「遠藤市長にいじめられている、阿波おどり振興協会です」と観客の前でしゃべりだすと大きな歓声。
「どこかで、総踊りができないかと考えている」と訴えると、拍手喝采で総踊りへの期待の大きさ、支持がうかがえた。開幕日には桟敷席からもこんな声が相次いだ。