龍さんが店にいることをどこからか聞きつけ、環境相時代に一緒に仕事をした官僚たちが挨拶に来たこともある。彼らは口をそろえて「松本先生の人柄があったから、COP10をまとめることができた」と話していた。

「酒場のたしなみ」をよく知る素敵な大人だった。龍さんが来ると、自然と人の和ができて店が和やかになる。しかし、今となってはその機会は永遠に失われてしまった。それでも、キングハーベストに集まる人たちはこう言うのだ。

「ほら、今にでもそこの入口から龍さんが入って来そうじゃない」

 7月23日、葬儀が福岡で執り行われ、龍さんは荼毘に付された。同日夜、キングハーベストでは龍さんお気に入りの指定席に、焼酎のお湯割りとオムレツが置かれた。最近店に来た時は、生まれたばかりの孫の話をしていて、その表情は国会議員時代には見せたことのないような笑顔だったという。67歳の早すぎる旅立ちだった。(AERA dot.編集部・西岡千史)

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