徳島の夏の名物、阿波踊りが大荒れの様相を呈している。阿波踊りのフィナーレをかざる「総踊り」が今年は中止と発表され、チケットの販売にも影響が出ているのだ。
「総踊り」は毎年、8月12日から始まる阿波踊りの最終日15日午後から南内町演舞場で開かれる。40年以上の歴史があり、1500人の踊り子がカネや太鼓、笛に合わせて、一糸乱れぬ踊りを披露。そこに観客の拍手と声援で地響きがするほどでさだまさし原作、松嶋菜々子主演の映画「眉山」でもクライマックスのシーンにとりあげられた。その踊りを披露してきたのが、阿波おどり振興協会所属の有名連だ。
その昔、阿波踊りが今ほどメジャーではなく観客動員が伸び悩んでいた時に「総踊り」のアイデアが生まれ、その後、総踊りが阿波踊りの代名詞となるまでに知られるようになった。
阿波踊りは昨年まで徳島市観光協会と徳島新聞が主催していた。だが、徳島市が長年の累積赤字を理由に、徳島市観光協会の破産を申し立て。それが認められため、今年からは遠藤彰良市長がトップになり、徳島市阿波おどり実行委員会を発足させた。
「前主催者の徳島市観光協会は、徳島新聞が阿波踊りを私物化するような運営に異を唱えて改革を進めていた。だが、徳島新聞系列の四国放送アナウンサーだった遠藤市長は赤字を理由に徳島市観光協会を解散に追い込んだ。一方で徳島新聞はノウハウがあると、新しい実行委員会に加わった。この一方的なやり方に観光協会にこれまで協力してきた振興協会の有名連が反発。お互いが引くに引けない状況になってしまった」(徳島市幹部)
そこで遠藤市長は今年の阿波踊りは総踊りを中止。振興協会の有名連は4つの演舞場に分散させて、踊るという方針を打ち出した。
「40年以上もやってきた総踊りを見たさに全国からお客様がやってくる。それなのに振興協会が観光協会を支持していたのが憎いのか、遠藤市長はきちんとした理由なしに中止した。到底、承服できない」と阿波おどり振興協会幹部は憤慨する。