そして8月11日に行われる「阿波踊り前夜祭」から振興協会を締め出す方針を遠藤市長は記者会見で打ち出した。


 
 前出の振興協会の幹部はこう不満をぶちまける。
 
「我々は1年間、阿波踊り本番と前夜祭の5日間ほどのために必死で練習を積んでいる。それを遠藤市長は立場を使って、めちゃくちゃにしている」
 
 そして、1枚の紙を差し出した。
 
<平成30年度「阿波おどり」出演等に関する覚書>とタイトルが打たれた文書は、実行委員会と有名連の間で締結される「契約書」のようなものだ。
 
 有名連が覚書に従わないと、<正当な理由なくこの覚書に定める業務を遂行しないとき>などで契約解除ができるとある。
 
 また有名連が実行委員会や第三者に損害を与えた時は<直ちにその被害者に賠償しなければならない>と賠償まで求めているのだ。
 
 振興協会の山田実理事はこう主張した。
 
「昨年まで40年、50年、阿波踊りに携わってきたが覚書、契約書などはなかった。信頼関係でやってきた。今年は主催者が変わったと覚書が7月6日昼過ぎにFAX送信されてきた。実行委員会の言うことを聞けと一方的に服従させるような内容。賠償責任まで求めている。それを実行委員会は、午後7時まで了承して判を押して返送せよとまで言う。最終的にはサインしました。だが、こんなやり方では遠藤市長や実行委員会とは信頼関係が構築できないのです。おまけに阿波おどり振興協会の事務所は徳島市役所の庁舎に間借りしています。そこも7月末までに退去せよと通告されている」
 
 総踊りの中止、前夜祭に振興協会が出演しないことは、チケットの売上に大きな影響を与えている。
 
「毎年、阿波踊りの桟敷席は7月1日の発売初日で人気の8月12日の初日と15日の総踊りはすぐに完売。約10万席のうち50%は発売初日で売れます。しかし今年はまだ2万枚前後の売り上げで、実行委員会があまり機能していない。振興協会なしにはもたない。そこに阿波踊りの大看板、総踊り中止でより悪いイメージが広がってしまったのも原因だとみられる」(徳島市幹部)
 
 振興協会は独自で総踊りをすることも計画しているという。阿波踊りの「分裂開催」になりかねない一触即発の状態が続いている。(今西憲之)
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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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